研究課題
フルカラーディスプレイや白色光照明を実現するためには、青、緑、赤色の発光材料が必要であり、それらの光物性を評価、比較することは重要である。これまでに、緑色発光を示す熱活性化遅延蛍光(TADF)材料である4CzIPNについて発光特性の温度依存性を調べ、励起状態の緩和過程に高次の三重項励起状態(Tn)が重要な役割を果たすことを示した。当該年度は、当初の研究の目的に従って、緑色発光を示す4CzIPNだけでなく、赤色発光、青色発光を示すcarbazolyl dicyanobenzene系TADF材料(4CzTPN、2CzPN)の発光特性を調べ、励起状態構造の違いについて明らかにした。4CzTPN薄膜、2CzPN薄膜における発光緩和速度の温度依存性は、最低一重項励起状態(S1)と最低三重項励起状態(T1)と基底状態(S0)を考慮した3準位モデルでは説明できず、S1とT1の間に位置するTnを考慮した4準位モデルにより矛盾なく説明できることが分かった。緩和速度の温度依存性に、4準位モデルによる速度方程式から導いた解をfittingすることで、S1-T1間、Tn-T1間のエネルギーギャップ(ΔE{S1-T1}、ΔE{Tn-T1})を求め、4CzIPN、4CzTPN、2CzPNの励起状態構造を決定した。4CzIPNと4CzTPN では蛍光波長は異なるが、S1、T1、Tnの励起状態構造がほとんど同じであることが明らかとなった。2CzPNでは、ΔE{S1-T1}、ΔE{Tn-T1}が4CzIPN、4CzTPNに比べて2倍程度大きいことが分かった。以上より、carbazolyl dicyanobenzene系TADF材料(4CzIPN、4CzTPN、2CzPN)の緩和過程におけるTnの寄与を示すことができ、励起状態構造を明らかにすることができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Photonics for Energy
巻: 8 ページ: 032104(10 page)
10.1117/1.JPE.8.032104
Nanoscale Research Letters
巻: 12 ページ: 268(5 page)
https://doi.org/10.1186/s11671-017-2012-1
http://pe3.pe.osakafu-u.ac.jp/