研究課題/領域番号 |
15J12103
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
磯川 宗生 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 液体クロマトグラフィー / マイクロ化学分析システム / 生体分析 |
研究実績の概要 |
本研究では,一般の医療機関における生体分子分析とその診療への活用を実現するために,「分析に必要な全ての要素を小型化し,1枚のチップに集積化することで,微量試料の迅速自動分析を可能とする」マイクロ化学分析システムの開発を目的とする.本年度は下記の3点について検討を行った. 1. 本研究では,従来の液体クロマトグラフィー(LC)カラムを超える分離能力を有する,ピラーアレイカラムを分離部として採用した.生体分子や薬物等の高極性分子に対しては,親水性官能基で修飾したカラムが適している.このため,親水性基であるアミド基で修飾したピラーアレイカラムの開発を行った. (1) まず,従来LCのアミド修飾カラムを用いて生体分子の分離検討を行った.マウス血清におけるチオール分析法を開発し,蛍光誘導体化した生体チオールの同時定量を可能にした.さらに,ヒト試料には存在せず,マウス試料に存在する未知のチオールの分子量を決定した. (2) 従来LCのアミドカラムの作製法を参考にして,ピラーアレイカラムのアミド修飾手法を確立した.さらに,アミド修飾ピラーアレイカラムを用いて,蛍光誘導体化したチオールの分離を達成した. 2. 生体試料に含まれる多数の分子の分離には長い分離流路が必要であり,限られたサイズのチップ上で流路を延長するためにはターン構造の導入が必須となる.このための流路構造として,ターン部分における試料拡散を低減し,かつ流路抵抗を増大させないという特性を有するターンの開発に成功した. 3. 1枚のチップ上に様々な構造を統合するには,オンチップバルブの利用が不可欠である.既存のオンチップバルブは圧力操作を必要としており,システム全体の操作が煩雑となる.システム制御を容易にするために,磁力駆動性のバルブを考案した.実際にチップ内の流路に回転式バルブを作製し,このバルブが外部磁力に応答して動くことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では,「アミド修飾ピラーアレイカラムの開発とその生体分子分離への応用」「磁力駆動性バルブの開発」を本年度の目標としていた.両目標が達成されたため,研究はおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
アミド修飾ピラーアレイカラムを用いて,生体試料の分析を行う.また,生体中の存在量が微量な分子の分析を可能にするために,ピラーアレイカラムの試料注入部に,目的分子の濃縮部を作製する.さらに,高感度な検出を自動で行うために,蛍光誘導体化反応部位を開発し,ピラーアレイカラムと統合する.
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