研究課題
初年度は不眠症治療用のリアルタイムfMRIを用いたニューロフィードバックシステムを構築し、健常被験者を対象に構築したシステムの性能試験を行うことを目標としていた。本研究室にて実施している不安症を対象にしたニューロフィードバック研究に共同研究者として参加し、システム構築の技能、プログラミング技術について習得した。次年度は、近年にほかの研究グループから出版された論文によって従来予定していた手法の難点が明らかになったことから、異なる方向性を模索することとなった。新たな不眠症のニューロフィードバック治療法の開発に貢献する成果を得るため、不眠症患者の安静時脳活動と、治療前後の脳構造(T1,拡散テンソル画像)データの取得を継続した。今年度において、健常者36名、患者15名の安静時脳活動、健常者40名、患者44名の脳構造データ、そのうち16名は認知行動療法による治療後のデータを取得した。解析の結果、認知行動療法前に比較して治療後で、楔前部の灰白質容量が有意に低下していること、左眼窩前頭皮質の灰白質容量が有意に増大する傾向にあることが明らかとなった。楔前部はデフォルトモードネットワークの中心領域で、反芻思考と関連していることが示唆されている。また左眼窩前頭皮質は先行研究においても不眠症患者において灰白質容量の減少が認められ、さらに多疾患における治療介入において増大が認められている部位で、不眠症の病態生理、認知行動療法の治療メカニズムと何らかの関連を持つ領域であることが示唆される。脳組織の変性が治療の背後にあることが予想され、今後はこれらの領域に焦点を当ててニューロフィードバックシステム構築をしていく。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
Scientific Reports
巻: 6 ページ: 35812
10.1038/srep35812
時間生物学
巻: 1 ページ: 12-18