第3年次にあたる平成29年度は、主に初年度と第2年次の海外調査や研究会等を通して得た資料や知見を総合的にまとめた成果を出していくことに専念し、国内での論文執筆に取り組んだ。 まず国内では、第1年次の日本文化人類学会主催の若手奨励セミナーで報告した発表内容を「ケーンの吹奏をめぐる『男らしさ』の創成―ラオスのカップ・ラム歌謡と性別役割分業―」と題する研究論文にまとめ、日本文化人類学会の学会誌『文化人類学』に提出した。2017年8月査読受理された後は校正作業に取り組んだ。続いて第2年次にあたる2016年7月2、3日に開催した日本タイ学会(於 九州大学・西新プラザ)分科会『グローバリゼーション下の「文化復興」実践を問い直す』での口頭発表「イサーン・ルネッサンス?―文化評価システムの確立とモーラム芸能者の政治的・教育的活動の関係から―」をモノグラフとして完成させ、国内の研究学術誌『東南アジア研究』に投稿論文として提出した。2018年2月に査読受理され、2019年1月掲載に向けて校正作業に取り掛かっている。最後は、2015年1月国立民族学博物館共同研究「東南アジアのポピュラーカルチャー:アイデンティティ、国家、グローバル化」(代表:福岡まどか)の研究会で外部講師として報告した「グローバル化するタイ東北地方音楽モーラム――聴かせる・魅せる・繋がる」を、共同研究出版事業に所収論文(題目:「越境するモーラム歌謡の現状―魅せる、聴かせる、繋がる」)としてまとめ、原稿を寄稿した。 現在は、国立民族学博物館共同研究(若手)の研究成果物と科研での論文執筆に連動させ、『研究報告』に共同研究員で特集を組んでいる。メディア・テクノロジーが拡充していくことで村落社会の芸能者や芸術家たちの生活や対人コミュニケーションにどのような変化が生じているかについてモノグラフを完成させた。その他、複数の原稿依頼を受けた。
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