研究課題/領域番号 |
15J12191
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
野田 秀俊 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所有機合成研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | アルドール反応 / ホウ素 / 触媒 / アミド化 |
研究実績の概要 |
本研究課題では多段階のアルドール反応を新規触媒の創製によって制御し、合成化学的に有用な1,3-ポリオール類の効率的な供給を目指している。特に触媒設計においては合成化学において比較的未開拓であるボロン酸及びボリン酸のB-OH結合に焦点を当て、未知の反応性を探索することに重きを置いている。 研究初年度であった平成27年度は様々な新規ホウ素含有化合物を設計及び合成し、その触媒能の評価を行った。現在までのところ、所望のアルドール反応に対して高活性を有する触媒を見出すには至っていない。しかし新たに設計した触媒の中から、カルボン酸とアミンを基質とした直接的アミド化反応に対して高活性を有する触媒を見出した。本触媒は既存の触媒とは異なる活性化様式を有し、基質適用範囲の大幅な拡充が可能であった。 触媒探索と同時にアルドール反応の予備検討も実施した。対応するカルボン酸から容易に合成可能な7-アザインドリンアミドを基質とした反応が、金属触媒によって廃棄物を伴うことなく効率的に促進されることを見出した。具体的には、α位にアジド基を有する基質のトリフルオロメチルケトンへアルドール反応が高収率、高立体選択的に進行する触媒系を見出した。本反応は類似の方法論と比べて高い官能基許容性を有していることから、非天然型α―アミノ酸類の有望な合成法になり得ると考えられる。またアルドール反応成績体を低温にて還元処理することで、高収率にてアルデヒド酸化状態へと誘導可能であることを見出しており、複数回のアルドール反応へと展開する際の足がかりとなると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直接的アミド化反応においてホウ素含有触媒における新しい活性化様式を提示することができた。これは本研究課題初期の目標の達成に合致すると考えている。またアルドール反応においても反応が効率良く進行する系を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
アミド化反応で得られたホウ素触媒の活性化機構の理解を深めると同時に、概念の一般化を目指して他の反応系への展開を推進していく。特にアルドール反応において見出している金属触媒系との統合を狙い、反応の多段階化を目指す。
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