平成29年度は、in vitro におけるGPR30の機能解析と、ノックアウトマウスの表現型解析を平行して行った。In vitroの解析では、GPR30過剰発現細胞を用いて、受容体活性化による細胞内シグナル伝達について、阻害剤を用いた解析により、共役するGタンパク質を明らかにした。また、セカンドメッセンジャー以降の下流シグナルを解析した。更に、機能変化を引き起こす変異を同定し、変異型GPR30発現ベクターを作製するとともに、その変異体シグナルに関して、野生型GPR30と同様に、 共役Gタンパク質や下流シグナル経路の解析を行った。In vivoの解析では、CRISPR/Cas9システムを用いて平成28年度に樹立したGPR30ノックアウトマウスを用いて解析を行った。まず、野生型マウスを用いて、定量PCRおよびin situ hybridizationによってGPR30の発現量の高い臓器および発現細胞集団を同定した。次に、当該臓器や当該細胞におけるGPR30の機能解析を、疾患を惹起しない状態で行った。これらの解析では、野生型マウスとノックアウトマウスの間で明らかな差は見られなかった。そこでGPR30発現臓器について複数の病態モデルを作製して表現型を野生型マウスとノックアウトマウスで比較した。これらの臓器レベルの病態モデルの解析の一部で、野生型マウスとノックアウトマウスの間に表現型の違いを見いだした。今後は更に詳細な解析を行うため、発現細胞の確定とex vivoの解析を予定している。
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