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2015 年度 実績報告書

含ケイ素生理活性物質の創製

研究課題

研究課題/領域番号 15J12421
研究機関東京大学

研究代表者

梶田 大資  東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2015-04-24 – 2018-03-31
キーワードケイ素 / 不飽和長鎖脂肪酸 / シスオレフィン / オレオイルエタノールアミン / PPAR
研究実績の概要

私は以前の研究で、化学的に不安定なシスオレフィン構造を有するチューブリン重合阻害剤コンブレタスタチンA-4のシスオレフィンをケイ素リンカーに置き換えることで、安定でかつコンブレタスタチンA-4と同等の抗腫瘍活性を有するケイ素化合物を見出した。そこで本研究では、コンブレタスタチンのようなスチルベン骨格以外の構造を有するシスオレフィン化合物でもケイ素リンカーによる代替が可能であるかを検討することとした。リード化合物として長鎖脂肪酸構造中にシスオレフィンを有するオレオイルエタノールアミンを選定し、ケイ素を用いた構造展開を行った。オレオイルエタノールアミンは脂肪酸代謝等に関わる核内受容体であるPPARαのアゴニスト、すなわち作動薬であり、当研究室でPPARαアゴニスト活性をみるための評価系がすでに構築されているのもオレオイルエタノールアミンをリード化合物として選んだ理由の1つである。
合成では、シスオレフィン部分をジメチル、ジエチル、ジ-n-プロピル、ジ-n-ブチルシランに置き換えた化合物及び、リード化合物から引き継いだ構造部分の炭素鎖長を変換した化合物を合成した。ケイ素の導入は、末端アルキンをリチオ化し、ジアルキルジクロロシランと反応させることで達成した。
得られた種々のケイ素化合物について、当研究室保有のアッセイ系にてPPARα、δ、γアゴニスト活性を評価した。その結果、ケイ素の導入によりαと比較してδに対する選択性が高くなることがわかった。一方で、αに対する活性に着目すると、リード化合物と比較して減弱した。
本研究の結果、先のチューブリン重合阻害剤の創製研究とは異なる結果が得られたが、ケイ素の導入により選択性の変化が期待できることが示唆された。このことから、創薬化学においてケイ素の導入は有用な選択肢の1つになり得ると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究を遂行する上で幸い大きな問題は起きず、予定どおりに進んだ。

今後の研究の推進方策

本研究課題については現在までで一区切りとし、新たな研究テーマとしてシラトラン化合物の合成に着手する。シラトランはケイ素を中心とした三方両錐の構造をとっており、これはスルファタ-ゼによる脱硫酸化の反応遷移状態と同一の立体である。そこで、本研究ではシラトラン構造を有する化合物がスルファタ-ゼの遷移状態型アナログとして機能し得るかを検討する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Design and synthesis of silicon-containing fatty acid amide derivatives as novel peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR) agonists2015

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kajita, Masaharu Nakamura, Yotaro Matsumoto, Minoru Ishikawa, Yuichi Hashimoto and Shinya Fujii
    • 雑誌名

      Bioorganic & Medicinal Chemistry Letter

      巻: 25 ページ: 3350-3354

    • DOI

      10.1016/j.bmcl.2015.05.045

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Development of silicon-based biological active compounds by focusing on silyl functionality as a cis-olefin mimetic2015

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kajita
    • 学会等名
      PACIFICHEM (環太平洋国際化学会議) 2015
    • 発表場所
      ホノルル(アメリカ合衆国)
    • 年月日
      2015-12-15 – 2015-12-20
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2016-12-27  

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