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2016 年度 実績報告書

一本鎖RNAを認識する自然免疫受容体TLRの構造生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15J12485
研究機関東京大学

研究代表者

丹治 裕美  東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2015-04-24 – 2018-03-31
キーワードTLR8 / Z-loop / 自然免疫 / X線結晶構造解析 / ウィルス感染 / Toll様受容体 / TLR
研究実績の概要

TLR7/8/9の活性化には、分子内の挿入ループ (Z-loop) の切断が必要であることが先行研究により示されている。これまで構造解析が達成されたTLR8は野生型であり、S2細胞で発現させた後に既にZ-loopが切断されていたため、Z-loopの機能は不明だった。そこでアミノ酸残基の変異を導入することでZ-loop未切断型TLR8を作成し、構造解析を行った (Tanji et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2016)。
その結果、Z-loop未切断型TLR8は単量体であり、2量体界面に未切断のZ-loopが観察された。本研究により、未切断のZ-loopがTLR8の2量体化を阻害していることを構造生物学的に明らかにした。また、Z-loop未切断型TLR8は溶液中でも単量体であり、低分子リガンドはZ-loop未切断型TLR8に結合せず活性化型2量体への構造変化が起こらないこと、つまりZ-loop未切断型TLR8では2量体界面のリガンド結合部位(1st site)が機能せず生体内ではシグナルが伝達しないであろうことを見出した。一方で、Z-loop未切断型TLR8に対してRNAは結合することから、Z-loopとリング型構造の間のRNA結合部位(2nd site)は機能していることを見出した。
本研究は、Z-loopの切断によるTLR7/8/9の活性化機構の解明に寄与し、生物学的に意義があると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、TLR8のZ-loop未切断体の結晶構造解析に成功しており、論文として発表した。

今後の研究の推進方策

これまで構造が明らかになったTLRはほとんどが細胞外ドメインであり、TLR全長体の構造はほとんど明らかになっていない。今後はTLR全長体の構造解析に取り組み、実際の活性化機構を明らかにする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of Colorado(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Colorado
  • [雑誌論文] Autoinhibition and relief mechanism by the proteolytic processing of Toll-like receptor 8.2016

    • 著者名/発表者名
      Tanji, H., Ohto, U., Shibata, T., Miyake, K., Shimizu, T.
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 113 ページ: 3012, 3017

    • DOI

      10.1073/pnas.1516000113

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Structural Analysis Reveals that Toll-like Receptor 7 is a Dual Receptor for Guanosine and SingleStranded RNA.2016

    • 著者名/発表者名
      Zhang, Z., Ohto, U., Shibata, T., Krayukhina, E., Taoka, M., Yamauchi, Y., Tanji, H., Isobe, T., Uchiyama, S., Miyake, K., Shimizu, T.
    • 雑誌名

      Immunity

      巻: 45 ページ: 737, 748

    • DOI

      10.1016/j.immuni.2016.09.011

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Structural studies of innate immune RNA receptor human TLR82016

    • 著者名/発表者名
      Tanji, H., Ohto, U., Shibata, T., Miyake, K., Shimizu, T.
    • 学会等名
      14th Conference of the Asian Crystallographic Association
    • 発表場所
      Hanoi (Vietnam)
    • 年月日
      2016-12-04 – 2016-12-07
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-16  

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