これまでにRNAウイルス刺激の模倣刺激である二本鎖RNA刺激後24時間のマウス胎児期線維芽細胞(MEF)において、I型IFN産生細胞とアポトーシス細胞が異なる細胞集団であることを示してきた。さらに、これまでに1細胞から増殖させたクローン集団においてもI型IFN産生集団とアポトーシス集団という異なる2つの集団に分かれることを示してきた。このことからたとえ遺伝的に均一な細胞集団においてもI型IFN産生集団とアポトーシス集団という2つの集団に分かれることが示唆された。 しかし、たとえ均一なクローン集団においても、一部の細胞でどちらかの応答を選びやすいといったバイアスがかかっていた可能性が考えられる。そこで、二本鎖RNA刺激後にI型IFNを産生した細胞をFACSで単離し、二度目の二本鎖RNA刺激を行った。すると二度目の二本鎖RNA刺激に対しても一度目の刺激と同様の割合でI型IFN産生細胞とアポトーシス細胞が現れた、さらに一度目にI型IFNの産生もアポトーシスも誘導しなかった細胞集団を単離して、二度目の二本鎖RNA刺激を行っても一度目と同様の割合でI型IFN産生集団とアポトーシス集団に分かれた。これらの結果から、どちらの応答を誘導するかはあらかじめ決まっているわけではなく、確率論的なプロセスが関与する可能性が考えられる。 さらに実際のウイルス感染においてもI型IFN産生集団とアポトーシス集団に分かれるのかを調べた。MEFに対して水泡性口内炎ウイルスを感染させたところ、この場合もI型IFN産生集団とアポトーシス集団に分かれた。この結果から実際のウイルス感染においても2つの集団に分かれることが示された。今回用いたtiterでは、ウイルスのtiterが高いほどI型IFN産生集団の割合が高かった。この結果からウイルスのtiterが抗ウイルス応答の選択に影響を与える可能性が示唆された、
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