研究課題/領域番号 |
15J30005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宇野 真之介 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | タンパク質タグ、 / フォトクロミック分子 / アゾベンゼン / シアニン |
研究実績の概要 |
今年度は、昨年度に引き続きタンパク質の機能を制御し得る光機能性分子の開発を進めた。具体的には(1)光照射により結合・解離を制御できるタンパク質タグ及び(2)光照射に応じて分子の電荷状態を変化させる分子の合成と物性の基礎評価に注力した。(1)に関してはeDHFRとTMPの非共有結合を利用するTMPタグを基に、光応答性基であるアゾベンゼン基を導入したAzoTMPを5種設計し、その合成を完遂した。水溶液中において紫外・可視光による可逆的な異性化を確認した後、蛍光偏光法によりeDHFRとの結合特性を評価した。その結果、紫外光照射前後において、解離定数が最大で6倍大きくなることが明らかとなった。(2)においては、シアニン類に分子内求核基を導入し、温和な条件下で光応答性分子の開発を試みた。Cy5又はクマリン-シアニンハイブリッド(CC)を骨格として選択し、分子内求核基としてアルコールを有する分子を設計し、それらの合成を完了した。まずpHによる影響を確認した結果、Cy5のアルコール誘導体は、pHに依らず一定の吸光度を示すのに対して、CCでは中性~弱塩基性で吸光度の減少が確認された。Cy5のアルコール誘導体に紫外光を照射し、熱的な緩和過程を観察した結果、わずかに吸光度の回復が見られたものの、褪色に伴う不可逆的な吸光度減少の影響が大きく、タンパク質の機能制御に用いることは難しいことが示唆された。一方、CCは中性条件下で長波長の吸光度が消失するため、当初の電荷を変化させる分子としての利用は難しいものの、蛍光性状態と無蛍光性状態に可逆的に変化することと約80nmのストークスシフトを有することから、蛍光プローブや超解像イメージングプローブの骨格としての応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光スイッチ機能を有する分子を異なるアプローチから複数設計・合成し、その物性の基礎評価を完了した。その中から、光応答性タグタンパク質の候補化合物を見出すだけでなく、クマリンーシアニンハイブリッド誘導体が蛍光プローブ及び超解像イメージングプローブとして有用である可能性を見出したため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)において、eDHFRを膜タンパク質に共発現させた生細胞系を構築し、AzoTMP-蛍光色素を用いて光照射によるタンパク質の局在制御の実証を試みる。また、光照射前後の解離定数の変化をより大きくするため、分子内のアゾベンゼン部位に嵩高い置換基を導入した化合物の合成・評価を試みる。(2)において、クマリン-シアニンハイブリッドのアルコール誘導体をアミノペプチダーゼプローブ及び超解像イメージングプローブの観点から評価する。
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