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2015 年度 実績報告書

ES細胞の浸透圧応答とAVPニューロンへの再生・分化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 15J40001
研究機関福岡大学

研究代表者

佐藤(沼田) かお理  福岡大学, 医学部, 特別研究員(RPD)

研究期間 (年度) 2015-04-24 – 2018-03-31
キーワード低浸透圧 / アニオンチャネル / 阻害薬
研究実績の概要

昨年度は、ラットAVPニューロンの低浸透圧条件下において容積調節メカニズムに重要な役割を担う容積感受性外向整流性Cl- チャネル(VSOR)について、培養AVP細胞における機能的発現の有無をパッチクランプ法により電気生理学的・薬理学的な解析をする計画であった。このVSORにおいて、2014年、LRRC8AがVSOR活性の重要な因子である事が報告され、さらに最近、VSORがアシドーシス条件下で活性化する酸感受性外向整流性Cl- チャネル(ASOR)と同一の分子実体ではないかという説を唱える研究者も見受けられてきた。そこで、培養AVP細胞で研究を行うにあたり、VSORのASOR、LRRC8ファミリーに対する関与を明らかにする為、ヒト子宮頸癌細胞由来のHeLa細胞を用いて実験を行った。ASORの阻害剤として知られているDIDS、フロレチンは、VSORの阻害剤としても広く知られており、この事がASOR=VSOR説と唱える理由の1つになっていた。しかし、本研究により、VSORの阻害剤であるDCPIB、ATP、NPPB、カルベノキソロン、PPADS、メフロキニン、タモキシフェン、ガドリニウムの6種の試薬がASORには効果がない事が明らかになった。VSORの阻害剤であるスラミン、DIOA、アラキドン酸、ニフルミン酸は、ASORにも効く事が明らかになったが、ASORにおける抑制効果は、VSORにおける抑制効果の10~100倍も高い事が明らかになった。また、LRRC8ファミリーのVSOR、ASORそれぞれの関与について、VSORにおいては、⊿LRRC8A(⊿8A)細胞では電流が抑制されたが、⊿8B~8E細胞においてはなんら影響がなく、ASORにおいては、⊿8A~8E細胞すべてにおいて影響がないという結果が得られた。これらの結果より、ASOR≠VSORである事が結論付けられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

共同研究者からの細胞提供に予想外の遅れが生じたため、培養AVP細胞を用いた研究の進行に遅れが生じているが、それを補填する基礎的な研究として、低浸透圧条件下における容積調節メカニズムに重要な役割を担う容積感受性外向整流性アニオンチャネル(VSOR)について実験を行い、今後の研究にとって鍵となる重要な知見を得た。よって、本研究課題の進捗状況は、順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

今年度は、本研究課題の平成28年度の計画通りにラットAVPニューロンを用いた研究を進めると同時に、秋ごろに完成する予定の培養AVP細胞を共同研究者から提供してもらい、ラットAVPニューロンとの比較検討実験を予定通り行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Distinct pharmacological and molecular properties of the acid-sensitive outwardly rectifying (ASOR) anion channel from those of the volume-sensitive outwardly rectifying (VSOR) anion channel2016

    • 著者名/発表者名
      Kaori Sato-Numata, Tomohiro Numata, Ryuji Inoue, Yasunobu Okada
    • 雑誌名

      Pflugers Archiv - European Journal of Physiology

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1007/s00424-015-1786-1

    • 査読あり
  • [学会発表] 酸感受性外向整流性アニオンチャネル(ASOR)と容積感受性外向整流性アニオンチャネル(VSOR)の薬理学的分別2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤(沼田)かお理、沼田朋大、井上隆司、岡田泰伸
    • 学会等名
      第93回日本生理学会大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター (北海道札幌市)
    • 年月日
      2016-03-22 – 2016-03-24
  • [学会発表] 酸感受性外向整流性Cl-チャネル(ASOR)と容積感受性外向整流性Cl-チャネル(VSOR)の薬理学的相違2015

    • 著者名/発表者名
      佐藤(沼田)かお理、沼田朋大、井上隆司、岡田泰伸
    • 学会等名
      第68回日本薬理学会西南部会
    • 発表場所
      海峡メッセ下関(山口県下関市)
    • 年月日
      2015-11-21
  • [学会発表] ニューロン酸感受性外向整流性アニオンチャネル(ASOR)のアシドーシス性脳神経細胞障害に対する低温救済への関与2015

    • 著者名/発表者名
      佐藤(沼田)かお理、沼田朋大、井上隆司、岡田泰伸
    • 学会等名
      第66回西日本生理学会
    • 発表場所
      久留米大学筑水会館(福岡県久留米市)
    • 年月日
      2015-10-09 – 2015-10-10
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.fukuoka-u.ac.jp/physiol/study6.html

URL: 

公開日: 2016-12-27  

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