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2016 年度 実績報告書

親子間および夫婦間における共感に関連する心理・神経メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 15J40007
研究機関京都大学

研究代表者

間野 陽子  京都大学, 文学研究科, 特別研究員(RPD)

研究期間 (年度) 2015-04-24 – 2018-03-31
キーワード共感 / 感情 / 表情認知 / 社会的認知 / 機能的MRI
研究実績の概要

社会性において重要な役割を果たす、「共感」は、社会的文脈において、他者の心的および感情的な状態を推測することに基づいており、自分自身の感情と他者の意図や気持ちを洞察する認知とが融合してできたものであるとされている (Decety & Jackson, 2004)。
共感には、乳児が母親の内面を感じる体験である感情移入としての感情的共感 (一次的共感) (Kohut, 1966)と他者の立場に立ち感情を理解するという認知的共感 (二次的共感) (Kohut, 1977)があるとされており、発達段階の過程で獲得されていくものとされている。
しかしながら、親子間や夫婦間などの自己と親しい他者との双方向の共感が同期していく過程の心理的・神経学的メカニズムは明らかにされていない。
共感の同期に必要な認知機能に関して、発達心理学および神経科学のアプローチを用いて家族内の共感体験に関与する心理・神経基盤を探究することは、親子間や夫婦間の役割を理解することにつながると考えられる。
平成28年度は、親子間における共感の心理的メカニズムを検討するために、ロンドン大学ゴールドスミス校心理学部において、触覚刺激を用いた共感研究の実験手法を学び、実験刺激を整え、予備実験を遂行中である。さらに、共感の多面的検討を行うために、感情の神経科学的アプローチとして、抑制制御機能に関与する神経基盤の文化的影響を検討し (Pornpattananangkul et al., 2016)、文化神経科学アプローチとして、内集団における共感過程を明らかにするために、顔表情認知に関与する神経基盤の文化的影響を検討した (Mano et al., in preparation)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

親子間および夫婦間における共感を検討する前段階として、親子の共感の認知メカニズムを明らかにするために、ロンドン大学ゴールドスミス校のMichael Banissy研究室にて共感研究の実験手法を学び、実験刺激を整え、予備実験を遂行中である。さらに、共感の多面的検討を行うために、感情の神経科学的アプローチとして、抑制制御機能に関与する神経基盤の文化的影響を検討し、文化神経科学アプローチとして、内集団における共感過程を明らかにするために、顔表情認知に関与する神経基盤の文化的影響を検討している。親子間および夫婦間の共感を検討する前に、親子間の共感性の傾向を明らかにしようとしている点、共感の多面的検討を行っていることから、本研究課題における現在までの進捗状況は良好であるといえる。

今後の研究の推進方策

今後は、自分の子に対する親の共感の心理的・神経学的メカニズムを解明するfMRI研究を行う予定である。
具体的には、自然科学研究機構生理学研究所 大脳皮質機能研究系 心理生理学研究部門 定藤研究室において、fMRI実験を行う。3T の MRI装置 (Allegra)を用いて、母親と父親それぞれの、自分の子に対する共感の性差を、脳賦活部位の類似性または差異を調査することにより、明らかにする。さらに、Dual MRI装置 (Verio)を用いて、子に対する母親と父親の共感の同期を検討する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] ロンドン大学ゴールドスミス校心理学部(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      ロンドン大学ゴールドスミス校心理学部
  • [雑誌論文] Cultural influences on neural basis of inhibitory control.2016

    • 著者名/発表者名
      Narun Pornpattananangkul, Ahmad R. Hariri, Tokiko Haradaa, Yoko Mano, Hidetsugu Komeda, Todd B. Parrish, Norihiro Sadato, Tetsuya Iidaka, Joan Y. Chiao.
    • 雑誌名

      NeuroImage

      巻: 139 ページ: 114-126

    • DOI

      10.1016/j.neuroimage.2016.05.061. [Epub ahead of print]

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 物語における時空間情報に基づく視点取得の神経基盤2017

    • 著者名/発表者名
      米田英嗣、間野陽子、松田佳尚、小山内秀和、川崎真弘、楠見 孝、麻生俊彦、船曳康子、
    • 学会等名
      第19回日本ヒト脳機能マッピング学会大会
    • 発表場所
      京都大学百年時計台記念館、京都
    • 年月日
      2017-03-10 – 2017-03-10
  • [学会発表] Temporal and spatial perspective taking with autism spectrum disorders.2016

    • 著者名/発表者名
      Hidetsugu Komeda, Yoko Mano, Yoshi-Taka Matsuda, Hidekazu Osanai, Masahiro Kawasaki, Takashi Kusumi, Toshihiko Aso, & Yasuko Funabiki.
    • 学会等名
      Neurodevelopmental Disorders Annual Seminar (NDAS)
    • 発表場所
      Institute of Education, University College London, London, UK,
    • 年月日
      2016-06-23 – 2016-06-23
    • 国際学会
  • [備考] 脳科学辞典「視点転換」

    • URL

      https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%A6%96%E7%82%B9%E8%BB%A2%E6%8F%9B

  • [備考] 脳科学辞典「情動的記憶」

    • URL

      https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%83%85%E5%8B%95%E7%9A%84%E8%A8%98%E6%86%B6

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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