研究課題
イネのストリゴラクトン(SL)生産において、リン(P)とサイトカイニン(CK)は阻害的に作用することを明らかにしている。そこで、PとCKがどのように相互作用してSL生産に影響を与えているのかを明らかにするために、PおよびCKが、CK生合成・受容/シグナル伝達関連遺伝子の発現に与える影響を検討した。その結果、PおよびCK処理によって発現が上昇した遺伝子が、CK生合成関連遺伝子IPT1~8では4つ、シグナル伝達関連遺伝子typeA-RR1~10では2つあることが判明した。また、 オーストラリアでサンプリングしたエンドウの地上部からストリゴラクトンの同定を試みた。その結果、既知ストリゴラクトンは見つからなかったが、新奇ハイドロキシカーラクトン酸と推定されるピークが検出された。更に、SL生合成関連遺伝子の機能を一部明らかにすることができた。これまでSL生合成経路が一部分明らかにされたナズナおよびイネに加えて、根寄生植物Striga, トマト、トウモロコシのMAX1(SL生合成遺伝子の一つ)を酵母で発現させ、その機能を調べたところ、全てのMAX1はカーラクトン(CL)からカーラクトン酸(CLA)を生成すること、CL, CLAを基質にしても他の既知SL(その植物が生産しているSL)が生成されないことが明らかになった。更に、イネのCYP7111A2では、CLおよびCLAから18-OH-CLAが生成され、トマトMAX1では、4-OH-CLAおよび18-OH-CLAが生成されることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
ストリゴラクトンを含めた植物ホルモンを分析するための機械であるLC-MS/MSの原因不明の故障が何度も起こったり、平成27年度3月に完了した研究室の引っ越し時に植物ホルモンの内標などが紛失するなどの予期せぬトラブルはあったが、確実に結果をだし、筆頭論文が2報掲載されたため。
関連研究で若手Bの科研費が採択された。そのため仕事量は更に増えることが予想される。そのため、技術補佐員を雇うなどし、本課題の研究が遅れないようにする。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件)
Proceeding of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 不明 ページ: 不明
Planta
巻: 241 ページ: 687-698
10.1007/s00425-014-2208-x
New Phytologist
巻: 206 ページ: 983-989
10.1111/nph.13375