研究課題
世界的な過体重・肥満人口の急速な増加に伴い、肥満症や肥満関連疾患への対策は日本を含む世界の喫緊の課題である。肥満症の主要な成因として、食事における脂肪エネルギー比率の上昇が示唆されているが、過剰な脂肪摂取によって肥満が誘導される基礎的なメカニズムはいまだすべては明らかになっていない。Gastric inhibitory polypeptide (GIP)は、腸管内分泌K細胞から分泌されるペプチドホルモンであり、催肥満作用がこれまでに示されている。しかし、腸上皮細胞の中でK細胞は極めて希少であるがゆえにGIP合成・分泌に関する研究は困難とされていた。本研究課題では、GIP-GFPを用いて高脂肪食を短期に与えて肥満準備状態におけるK細胞のGIP分泌亢進機構の解明を目的とした。平成27年度及び28年度に得られた結果より、7週令のGIP-GFPヘテロマウスを用いて短期間高脂肪食負荷を行い、肥満を来していない状態でも脂肪に対するGIP過剰分泌が確認された。その肥満準備状態におけるK細胞遺伝子発現プロファイルを解析したところ、高脂肪食群K細胞に有意な変化を認める因子として65の候補遺伝子を同定した。そのうち、膵臓の分化や発生に関与が示されているRegenerating gene (Reg) familyのひとつであるReg3に着目し解析を行った。同じファミリーのReg4は既報では腸管ホルモンであるGLP-1、secretin、PYY、やghrelinを含有する腸管内分泌細胞に発現が確認されており、Reg3がK細胞において発現し短期間高脂肪負荷時に発現変化している可能性を考えてRT-PCRにてK細胞内発現変化を評価した。結果は通常食および高脂肪食負荷後K細胞でReg3の発現を認めるものの変化を認めずアレイの結果とは異なる結果となった。残りの候補因子も含めて更なる検討が必要である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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