研究課題
マウスやヒトにおいて、着床時には妊娠ホルモンといわれるプロゲステロン(P4)の濃度が上昇し、子宮がそれに応答して、子宮内膜の上皮の増殖が停止し、子宮内膜間質が増殖し始める。この変化がないと、着床不全が生じる。こういった変化には、P4が核内受容体のプロゲステロン受容体(PR)に結合し、プロゲステロンシグナル(PRシグナル)が活性化することにより、このスイッチングがおこることが知られているが、その現象が胚を受容するためのどういったメカニズムにつながるかは不明である。これを明らかにするために、P4を制御する上流のメカニズムとして、miRNAのアレイを着床準備期前のマウスの子宮(Day3)と着床準備期の(Day4)の子宮を用いて、マイクロアレイ解析を行った。Day3と比較してDay4のmiRNAの発現低下がみられたもののうち(15遺伝子)、マウスとヒトで保存されていたものは 2遺伝子存在した。その2遺伝子を、各個体の子宮を用いて、Day3とDay4でRNAの発現定量したところ、確実に発現がDay4で低下していたものは1遺伝子に絞られた。PRシグナルと着床との詳細な関係を明らかにするために、着床に重要なLif-LifR-STAT3シグナルにおける子宮内膜上皮、および子宮内膜間質特異的欠損マウスを作製したところである。今後は、これらのマウスの着床時期における表現系を解析し、子宮内膜の増殖と着床との関係を解析していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
miRNAのアレイにより、Day4で発現低下していたものが15遺伝子取り上げられ、そのうち詳細な発現定量解析により1遺伝子まで絞られた。当初予定していたFKBP52欠損マウスの解析に関しては、マウスの増えが悪いため、切り替えてPR阻害剤であるRU486を投与して着床を阻害するモデルを用いて、子宮内膜上皮をレーザーマイクロダイセクションにより回収し、RNA-seqを行い、PRシグナル阻害による発現変化を見出しているところである。また、Lif,LifR,STAT3の子宮特異的遺伝子欠損マウスは、おおむね順調に作成できた。
研究はおおむね順調に進展しているため、今後の研究は、アプローチ方法を少し変えながらも、当初の目的を達成するには、問題がないため、予定通り進めていく。
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HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
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