研究課題
胚側からの着床因子の同定に関しては、以前から着床に重要であるといわれているLifについて着目した。自作したLif-loxpマウス用いて、子宮内膜上皮特異的にLifをノックアウトすると不妊を示した。さらに、子宮内膜上皮Lifノックアウトマウス(Lif d/dマウス)の着床時期Day5の着床部位をブルーダイで染色したところ、コントロールマウス(Lif f/fマウス)では、着床部位が青く染めだされるのに対し、Lif d/dマウスでは全く認められなかった。Lif d/dマウスのDay4にLIFを投与したところ、Day5の午後には着床部位が認められ、着床がレスキューされ、出産できた。このことから、着床直前の子宮内膜上皮のLIFが着床を誘導していることが明らかとなった。今年度はLif d/dマウスとLif d/dマウス+LIFレスキューマウスの胚における詳細なメカニズムを解析する予定である。子宮側からの着床因子の同定に関しては、マウスでの着床前(Day3),前受容期(Day4 am)と着床直前(Day4 pm)の子宮を継時的に回収し、凍結切片を作製した。さらに、着床期に胚と接着する子宮内膜上皮を、凍結切片上でのレーザーマイクロダイセクションにより回収し、そこからRNAを抽出し、次世代シークエンスにかけて、大規模データを回収した。また、3種類の着床不全モデルを用いて、着床できない子宮内膜上皮を回収し、同様に大規模データを回収した。今年度は、これらの遺伝子発現プロファイルから、胚受容能に必要な遺伝子群を抽出する予定である。
2: おおむね順調に進展している
Lif-loxpマウス作成も進み、表現型まで確認できた。Lif-loxpマウスの増えが悪いこともあったが、今後はさらに詳細な解析ができる段階まで進められた。また、子宮内膜上皮における大規模データも回収でき、今後はヒトの細胞も回収して、解析する準備ができている。
研究は順調に進んでいるため、今後の研究は研究計画に沿って進めていく予定である。
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産科と婦人科
巻: 1 ページ: 75-77
JCI insight
巻: 1(8) ページ: e87591
10.1172/jci.insight.87591