研究課題
胚における着床因子の同定に関しては、以前から着床に重要であるといわれているLifについて着目している。自作したLif-loxpマウス用いて、子宮特異的(PR-cre)および、子宮内膜上皮特異的(Ltf-cre)にLifをノックアウト(Lif-epiKO)すると不妊になることから、子宮内膜上皮のLifが重要であるため、子宮内膜上皮を起点とする、胚への影響を解析することにした。まず、WTマウスの着床前から、着床後の時系列(Day3, Day4am, Day4pm, Day5)の4点における、それぞれの子宮内膜上皮をレーザーマイクロダイセクションによって、RNAを回収し、RNA-seqによって網羅的解析を行った。また、胚側においては、着床直前のDay4pmのコントロールマウス、Lif epiKOマウス、Lif-epiKO+LIF(着床がレスキューできる)マウスそれぞれの胚のRNAを回収し、RNA-seqを行った。子宮側からのインプットと、胚側からのアウトプットが合致するようなパスウェイを探索したところ、着床に向けて、胚のAKTシグナルに関与するFGFRが高発現しており、そのリガンドとなるCTGFが子宮内膜上皮において、着床期に向けて発現が上昇していることが見出された。実際のCTGFの発現をDay4pmのコントロールマウス、Lif epiKOマウス、Lif-epiKO+LIFマウスの子宮を用いてqPCRで確認したところ、コントロールマウスと比較して、Lif epiKOマウスで発現が低下し、Lif-epiKO+LIFでは、発現が回復していた。以上のことから、一つの可能性として、着床期に向けて、LIFのシグナルがCTGFのような液性因子の発現を促し、それが胚のインテグリン等の接着因子に作用して下流のAKTシグナルを活性化させ、着床、その後の浸潤を促すことが考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Endocrinology
巻: 158 ページ: 2344-2353
10.1210/en.2016-1886