現在、Webに発信されているテキストのうち大多数はブログや料理レシピのようなユーザ投稿型文書である。多くの一般ユーザは自分の知識を人に説明することについて特別な訓練を受けておらず、また新聞社の記者が書いた記事のように専門家が執筆・編集しているわけではない。よってそのデータは不完全なものとなりがちで、ときにその記事の意味を理解できないほど情報が欠落する場合がある。そこで、記事が入力された時点で、大量の類似したデータを用いてその情報の欠落を検出し、補完できる情報は補完し、補完できなかった情報はその記事の投稿者から聞き出すための質問を生成することが本研究の目的である。今年度は半年間の短期であったが、以下の2点を行った。 1)国際ワークショップにおける研究成果の発表および広報活動 2018年7月15日、スウェーデン ストックホルムにおいて開催されたIJCAI-ECAI 10th Workshop on Multimedia for Cooking and Eating Activities (CEA2018)において、本研究で開発されたツールを活用して行った研究成果の発表を行った。このワークショップは食に関する情報処理研究を行う欧州の国際ワークショップMADiMa2018との共同開催であり、スイスやイタリア、スペイン等の参加者に対して、課題研究の広報活動を行うことができた。 2) 英国John Carroll教授との新しい関連課題について共同研究を開始 採用2年度目に英国サセックス大学に滞在し、自然言語処理における述語項構造解析で有名なJohn Carroll教授との共同研究を行った。その後、メールやSkype等を通じて遠隔地間で研究的議論を続けてきたが、同教授が今年8月末に日本を訪問した際に直接お会いし、議論を深め得ることができた。
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