研究実績の概要 |
イネ胚乳アミロペクチンを伸長する主要なSSアイソザイム(SSI, SSIIa, SSIIIa)の活性が極限まで低下したイネ変異体(ss1L/ss2aL/ss3a)およびその親系統であるss1L/ss2aL/SS3aとSSI/ss2aL/ss3aを用いて、可用性タンパク質を分子量ごとに分画し、酵素間相互作用の変化を明らかにした。溶出画分を変性ゲルで分離後に、ウエスタンブロットを行い、イネの登熟胚乳で高い発現量を示した澱粉生合成関連アイソザイム(SSI, SSIIa, SSIIIa, SSIVb, BEI, BEIIa, BEIIb, PUL, Pho1)のタンパク質複合体の溶出分子量を調べた。その結果、SSI, SSIIa, SSIIIaのいずれのSSアイソザイムの活性が欠損または低下しても、BEおよびDBEの溶出パターンは野生型と大きな違いが無いことが分かった。一方で、他のSSアイソザイムは野生型とは異なる溶出パターンを示し、互いに相補していることが推察された。 また、今年度は澱粉生合成関連酵素複合体の中心的役割を担うSSIIaの活性検出条件を確立した。これまではSSIIaが低活性型のジャポニカ米を使用していたため、従来のグリコーゲンを基質としたNative-PAGE活性染色法でSSIIa活性が検出できないことは問題ではなかった。しかし、SSIIaが酵素複合体形成において重要な働きをすることが明らかになったため、SSIIa活性を検出する方法を立ち上げることは不可欠であると判断した。プライマーとなる基質・アクリルアミド濃度・電気泳動条件・酵素反応条件を検討した結果、1)トウモロコシのアミロペクチンを基質としたNative-PAGEゲルを、2)氷冷しながら泳動し、3)弱アルカリ性反応液で酵素反応を行うことで、明瞭なSSIIa活性バンドが得られることが明らかになった。
|