研究課題
国立天文台のVERA観測網を用いて水メーザー天体の固有運動を検出し、銀河系中心より遠方の天体の距離を測定することで、渦巻銀河である銀河系の中心の向こう側にある渦の形を直接検出し、新たな構造を明らかにするのが本研究の目的である。年周視差の影響の有無を考慮して正確に固有運動を求めるため、1天体の観測には丸2年かかる。計画では、第一次天体(平成26年度観測開始)と第二次天体(平成27年度観測開始)合わせて10天体程度を観測する予定であった。平成29年度は第二次天体3天体の観測を行った。うち、平成27年度に観測開始した1天体は今年度に2年分の観測データが揃う予定であったが、途中で水メーザーが弱くなって消失したため観測を打ち切った。取得したデータも、同じメーザー成分を複数エポックに渡って追跡することができないため、固有運動検出には不適である。平成28年度に観測開始した1天体は、丸1年のデータを順調に取得し、固有運動も見えているので、距離を求めることができる見込みである。その他、メーザー強度が増光したため平成29年度に新たに開始した1天体の観測を継続している。天体数の不足を補うため、過去のVERA観測のアーカイブデータの中から、本研究課題の選定条件に合致する数天体を選び出してデータを取得した。国立天文台の共同利用計算機を利用して解析を行った結果、1天体の固有運動を検出し、距離を測定した。この1天体に関して、日本天文学会2018年春季年会でポスター講演を行った。現在、論文執筆中であり、早急に投稿する予定である。他、国立天文台野辺山45m望遠鏡での水メーザーサーベイ観測の論文を投稿・出版した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 69 ページ: L6(1-5)
10.1093/pasj/psx052