研究課題
本研究は,論理回路等の広く用いられる計算モデルを対象に,ラムゼー理論等の離散構造に関する深い解析と大規模な計算機実験を通じて,計算にまつわる様々な現象の解明を目指したものである.これに向けて,今年度は特に,段数の少ない論理回路における論理関数の実現法に焦点を当て研究を行った.計算量理論において重要な研究対象である多数決論理関数について,これを2層の多数決論理回路で計算する場合の構成法に対して,これまで知られるものより入次数が少ない回路を構成的に与えることに成功した.この成果は,計算機を用いた大規模な実験と,その結果の理論的定式化という,当該研究課題において追及してきたアプローチにより可能となったものである.また,この種の回路の構成が,拡張グラフと呼ばれるグラフ理論的構造と密接な関係にあることを初めて明らかにすることに成功した.更に,得られた両者の関係性に数理的考察を加えることにより,この種の回路の構成で頻繁に用いられる乱択的構成法では,上で得られたものより優れた回路が得られないことをも明らかにすることができた.これらの結果は,英文論文1編,および,欧州で開催された国際会議MFCSにおいて発表した.今年度はその他にも,立体の最疎な充填法に対する構造の解析や,ポリオミノ等の離散構造物の平面充填法の解析等について研究を行い,いくつかの成果を得ることができた.これらは,国内の研究会等において発表を行った.加えて,施設配置問題に対するアルゴリズムの構築についても進展を得ることができ,これについても国際会議論文1編として発表を行った.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
LIPIcs (Proc. of MFCS 2018)
巻: 117 ページ: 81:1 - 81:13
DOI:10.4230/LIPIcs.MFCS.2018.81
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E101-A-9 ページ: 1543 - 1545
DOI:10.1587/transfun.E101.A.1543