研究課題/領域番号 |
15K00011
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
片山 喜章 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10263435)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自律分散ロボット / 3次元グリッド空間 / 集合問題 |
研究実績の概要 |
2015年度は,それまでに行ってきたグリッド平面上でのfatロボットの集合に関する研究を発展させ,3次元グリッド空間への拡張を試みた.3次元空間では移動方向の自由度が高く,それに伴いロボット同士の衝突のパターンが増大するため,2次元平面での成果をそのまま適用することは難しいと考えられた.しかしながら,実際に検討を進めていくにつれ,ロボットの移動戦略は2次元でのそれをほぼ踏襲することができることが明らかになった(2016.03 研究会および総合大会で発表).もちろん,2次元平面と3次元空間におけるロボット間で共有される情報に差異があるため全く同じとはいえないが,興味深い結果であると考える. また,理論的成果の実機ロボットへの適用については,実機への同期スケジュールや共通座標系の実現に関する基礎的な実装実験を行っており,学外の研究チームとの協同の成果を発表した(2015.09 ワークショップでの発表). 一方,我々の研究グループでは,自律移動型ロボットシステムの応用のひとつとして通信インフラの構築を考えている.これは簡単に言えば,各ロボットを中継装置と捉え,広範囲に散布することでアドホック通信を可能とする技術と考えられる.中継基地そのものが移動するため,通信の需要に併せてネットワークのトポロジを動的に変化させることで効率の良い通信を実現できる.そのようなネットワークシステム上での基盤通信技術実現のために,クラスタベースの通信インフラに関する調査研究(論文発表)および通信基盤実現のための手法として,DAG(Directed Acyclic Graph)を用いた情報散布技術を新たに定義し,その基本となる通信モデルと情報散布アルゴリズムを開発した(2016.06 研究会で発表).本件は,米国・UCLV の研究チームにもテーマを提案し,並行して研究を進めようとしているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,離散空間(2次元,3次元)におけるfatロボットの可解性に関していくつかの知見が得られ,研究集会での発表(3件)を行った.実機への実装についても,研究集会での発表(1件)が出来ている.これらに加え,自律分散ロボット群を用いた応用システムとしてアドホックネットワークを見据え,その上での通信基盤実現のための基礎的なアルゴリズムの開発も行い,研究集会で発表(1件)している.
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今後の研究の推進方策 |
離散空間における fat ロボットの形状形成問題に関するモデルと可解性の解明をいっそう進めると同時に,ロボットへの状態(メモリ)の追加が可解性や問題解決能力に与える影響の解明を進めていきたい. それと同時に,自律分散ロボットによるネットワークインフラ上でのさまざまな通信基盤技術の開発も行っていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定より旅費が多めに必要となったため,残金が購入予定であった物品の価格を下回ったため.
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度の予算と合算で,2015年度に購入予定であった物品を購入予定.
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