研究課題/領域番号 |
15K00011
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
片山 喜章 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10263435)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自律分散ロボット / グリッド / ファットロボット / 集合 / 一点包囲 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である「機能が限定された自律移動可能な複数の端末によって構成されるシステムの理論モデルの構築とそれによる問題の可解性(問題解決能力)の理論的解明」に関して,研究項目として(1)fat モデルと問題の可解性の解明,(2)離散平面上の問題と可解性の解明,(3)メモリを有するモデルによる問題の可解性の解明,(4)理論的研究成果の実システムでの検証実験環境の構築の4つを重点的に行う計画であった.本年度は,これらのうち(4)を除く3つについていくつかの成果を得た. (1),(2)については,離散二次元平面および三次元空間上でのfatロボットによる集合問題および一点包囲問題に関する成果を得ている.これらは2件の学会発表として公表された.また(3)については,集合問題およびランデブー問題(2台のロボットによる集合問題)の可解性に関して,メモリ量の下界の改良を行い,さらにその最適性およびモデル間の可解性の違いを議論可能な成果を得ている.これらは2件の学会発表として公表された. 自律分散ロボット群制御システムの応用研究として,ロボットが空間内に適切に配置された環境で,各ロボットが通信基地局として機能した場合を設定とした問題解決にも取り組んだ.具体的には,二次元平面や三次元離散空間上にロボットが配置された場合に,一組の送信元および受信先ロボット間の最短経路を求める自己安定アルゴリズム(3件の成果発表)および二次元連続平面における故障耐性を有するマルチキャスト経路構築自己安定アルゴリズム(1件の成果発表)を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究業績の概要でも述べたように,研究項目(1)~(4)のうち,(4)を除く3つの項目において,それぞれ学会での成果発表を行っている.また(1)については基本モデルとfat モデルの可解性の差異を直接示しているものではないが,基本モデルでは定義可能な問題がfatモデルでは定義が困難であることを明らかにした.(3)については,内部メモリと外部メモリの問題解決能力の差異を示していると考えられる成果を得ており,今後はその証明が課題となっている.一方で(4)については,研究環境の変化や利用するハードウェア(turtlebot2)の販売中止などの理由で今年度は成果を上げられなかった点が残念である. 以上より,(4)については予定通りに進まなかったものの,(1)~(3)については当初予定通り,あるいはそれ以上の成果を得られているものと考え,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は研究項目(4)について研究が実施できなかったが,ハードウェアの再選定など対処が可能であれば研究を再開する予定である.一方,主な研究項目である低機能自律分散ロボットのモデルの違いによる問題解決能力の解明については,2016年度の研究を引き続き推し進めることで更なる成果を得られるものと確信している. さらに,2016年度までに得られた成果を国際的な会議で発表するべく準備しており,2017年度中に発表できるよう計画している.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の研究項目(4)において,実ロボット関係物品を購入予定だったが,発売停止により購入不能になり,また研究環境の変化により当該項目の研究が行えなかったため.また,予定していた出張(国際会議)に参加できなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
当初購入予定だった実ロボットの代替機の購入検討,および予定していたもの以外の国際会議への参加を通じた研究発表及び資料収集に活用する予定である.
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