研究実績の概要 |
共同研究者とともに,IFP (Intuitionistic Fixed Point Logic) のシステムに細かな修正を行い,論文を最終的なものにした。また,IFP を拡張して,非決定的な並列実行を行うプログラムを抽出できる論理である CFP を考えた。部分プログラム(すなわち,引数によっては止まらないプログラム) M, N に対し,M と N の並列実行を行い最初に返ってきた値を返すプログラムを Amb(M, N) とする。CFP は,IFP に || (restriction) と S (concurrency) という2つの論理演算子を加えた体系である。CFP において,論理式S(A)を証明すると,その証明から,Amb(M, N) という形のプログラムで,どの引数に対しても必ず終了し,A を満たす結果を出すものが得られる。CFP で抽出されるプログラムの正しさは,RCFP というプログラムに関する論理における証明として与えられる。また,表示的意味論と操作的意味論をくみあわせることにより,その証明が実行結果を保証するものであることが示されている。CFP を用いて,実数 x がグレイコードという不定元を含む実数の表現を持つという述語 G(x), 符号付き2進表現を並列的に計算できるという述語 C(x) に対し,all x G(x) -> C(x) を CFP で証明し,その証明から,二つのコード間の変換を行うプログラムを抽出した。 並列実行の全域性を示すのに,concurrency だけではなく restriction の論理演算子も必要であるという知見は,並列実行の根源的な理解の一助になるのではないかと考えている。
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