研究課題/領域番号 |
15K00023
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
譚 学厚 東海大学, 情報理工学部, 教授 (50256179)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オンラインアルゴリズム / 警備員巡回路問題 / 計算幾何 |
研究実績の概要 |
順序付き特性を有する巡回路問題および関連の問題に対して研究を行った。主な研究結果は下の通りである。 1.多角形の形状を予め知ることが許されない場合、今まで見てきた地理情報に基づいて多角形の内部を巡回する問題はオンライン(on-line)型警備員巡回路問題とも呼ばれる。アルゴリズムの評価はオンラインで見つかった巡回路の長さと最短警備員巡回路の長さとの競合比を用いて行う。これまでに最良の競合比は26.5であった。警備員巡回路問題は、反射頂点を端点とする辺から境界線までに延長された直線線分の集合を巡回することに帰着されている。本研究は時計回りと反時計回りの方向に延長された線分に対して、時計回りの巡回路と反時計回りの巡回路を交互に使い、同じタイプの線分のみ訪れる部分問題に帰着させるアルゴリズムを提案した。同じタイプの線分のみ訪れる部分問題については、その部分問題に関する最短巡回路の長さの2√2倍を超えない巡回路をオンラインで辿り着くことができた。最終的に、競合比(4√2+1)のアルゴリズムを開発することに成功し、これまでの競合比26.5を大きく改善した。この研究結果に関する論文は国際会議COCOA2015で発表した。 2. 与えられた凸多角形の序列を訪れる最短の経路を求める問題に対するO(n*n*n log n) 時間のアルゴリズムは報告された。本研究はO(n*n*n)時間の解法を提案した。この結果をさらに警備員やサファリなどの巡回路問題に適用し、既存結果を改善することもできた。この研究結果を纏めた論文は現在投稿中である。 3.mxnの格子グラフの支配頂点集合を計算する分散型アルゴリズムも提案した。我々のアルゴリズムを使って計算した支配頂点集合のサイズは最適なものと最大1しか違わないため、最良の結果となっている。この研究結果に関する論文は国際会議FAW2015で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はいくつかの研究成果を得ることができた。特に、オンライン警備員巡回路問題に関する研究結果は研究計画の通りに実行されることができた。凸多角形の序列を訪れる最短の経路を求める研究は、その計算下界の証明に時間がかかったため、少し出遅れた。ただし、研究の結果は既に論文に纏まっており、現在投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
警備員の動きが与えられたラインに限定されるとき、いわゆるラインネットワーク上の警備員巡回路問題に関する解法は現在O(n exp 8) が最良である。この問題に潜む順序付き特性を見出せば、より効率的なアルゴリズムを開発することができる。具体的には、O(n exp 6)時間の解法を与えたい。また、2本の曲線(polygonal curve) 間のFrechet距離を計算する問題も順序付き巡回路の一種として考えることができる。この問題に対する効率的な解法も提案して行きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
部品費と人件費への支出を抑えたため、助成金の繰り越しが少し生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の助成金と合わせた使用計画(主な支出)は下の通りである。 1.海外・国内出張旅費(約50万円)2.研究論文出版費、研究図書購入費、会議参加費とその他(約40万円)。
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