研究課題/領域番号 |
15K00038
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
奥 宏史 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (20351455)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 閉ループ同定 / グレーボックスモデリング / 繰り返し同定 / マルチレート制御系 |
研究実績の概要 |
27年度はテーマ3の小型RCヘリコプタの多入出力系マルチレート閉ループ同定実験を実施するための準備として、定常偏差を極力抑えた初期安定化制御器の設計に取り組んだ。制御系の性能を上げるために、次の二つのアプローチを検討し実施した。一つは、既知情報を用いたグレーボックスモデリングよりモデルを構築し、それ制御系設計に用いることある。もう一つは、閉ループ同定と制御系設計の繰り返し実施することで制御系の性能を向上することである。
同定対象の小型RCヘリコプタは操作量として角速度指令入力をもつ。すなわち、動作点近傍で線形化されたヘリの動特性を考えたとき、ヘリの入出力関係のうち角速度指令入力からヘリ位置までの伝達特性に積分要素を含む系と考えられる。このことからグレーボックスモデリングに関して、同定対象の極が部分的に既知という事前情報を利用する不安定系に対する閉ループシステム同定法の研究に取り組みいくつかの成果を得た。一連の研究成果は国内国外の学術会議で口頭発表した。
現状において、小型RCヘリコプタの閉ループ同定実験を実施するために、試行錯誤により設計されたPID制御器を初期安定化制御器として使用している。PIDゲインの手動チューニングでは制御性能を上げるのが困難なため、閉ループ同定実験では外部励振信号の振幅を抑える必要がある。したがって外部励振信号と同定対象への入力信号との信号対信号比をあまり大きくできない。それでも同定モデルから制御系を再設計することにより初期制御器からの制御性能の向上が可能である。そこで、同定モデルを用いて再設計された制御器を用いて閉ループ同定を行い、得られた同定モデルによりさらに制御器を再設計するというプロセスを繰り返すことにより制御性能の向上を達成する。このことを実機実験により検証し、研究成果を2016年5月に国内の学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験環境の構築に関して、定常偏差を生じない初期安定化コントローラの設計に予定以上に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
小型RCヘリコプタの多入出力系マルチレート閉ループ同定実験を実施するための初期制御器の設計についてはある程度目処がついたので、引き続き実験環境の構築を進める。27年度中に開始できなかったテーマ1について早急に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画ではワークステーションの新規購入を予定していたが、現有のワークステーションで間に合ったので27年度中のワークステーションの購入を見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度で現有のワークステーションの耐用年数を迎えるので、ワークステーションを新規購入する。
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