研究課題/領域番号 |
15K00040
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
加藤 暢 近畿大学, 理工学部, 准教授 (00330233)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 物流システム / 自動監視 / RFID / プロセス代数 / モデル化 |
研究実績の概要 |
初年度(27年度)は,次の2項目を実施した.
1. [国際会議発表] マルタ共和国で開催された国際会議, Second International Conference on Mathematics and Computers in Sciences and in Industry(査読あり) に論文 “Experiment of a Freight Management System with the Multiple Ambient Calculus”を投稿して採録され,同会議にて口頭発表を行った.これは27年度の研究実施計画に於いて述べた,いくつものフィーダー港から発送されたコンテナが複数のハブ港を経由して目的地に運ばれるコンテナ輸送をモデル化し監視する仕組みの実装実験についてまとめたものである.この中で,様々な経路を想定し,コンテナの代替として自動車を用いて行った実験について述べた.
2. [国内研究会発表] 広島商船高等専門学校,神戸港コンテナターミナル運営会社,フォワーダー会社に赴き,実際の物流で行われているコンテナの積み替え作業について,実務の詳細に関する知見を得た.これらの情報を元に,27年度の研究実施計画に於いて述べた,中継港で行われるコンテナ載せ替えのための事務作業,具体的には載せ替える船の動的な決定とコンテナ割当の作業をモデル化し,現実の物流に即した監視システムの構築を行った.またこれらの結果をまとめ,情報処理学会プログラミング研究会にて研究報告書“多重Ambient Calculus を用いた海上物流監視システムのための動的経路設定機能”として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,多重Ambient Calculus を用い,大規模な物流システムにおける貨物配送の監視,及び物流システムに対するモデル検査を行うことのできるシステムの構築を目的としている.初年度の計画にて述べた複数の港を経由する複雑な航路に対応した監視システムの構築についての結果が国際会議のプロシーディングに採録された.また中継港での積み替えの事務作業のモデル化に関する結果を情報処理学会プログラミング研究会にて発表した.ただしこれらについて雑誌論文として採録されるまでには至っておらず,28年度はこれらの結果を早急に投稿し採録を目指す.
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今後の研究の推進方策 |
28年度以降は,次のように研究を実施する予定である. 1. 28年度の研究実施計画で述べたように,様々な場面でその場に応じたルーティング機構が構成できるようプロセス式生成システムを拡張する.そのためには,物流システムをできるだけ正確にモデル化した様々なプロセス式をあらかじめ作成する必要がある.2年目はまず,複雑で大規模なプロセス式を編集し実行(遷移)させながら完成させることのできる統合開発環境を構築する.
2. 1. と並行して,初年度に実施した内容を改善し雑誌投稿を目指す.具体的には,コンテナの乗り換え時に行われる事務作業をより忠実にモデル化するためのプロセス式の策定,及びそれらのプロセス式の分散環境上での管理方法を確立し実装する.
3. 2. で実装する物流監視システムを用いて実証実験を行うため,これまで用いてきた固定式のUHF帯RFID機器に加え,より性能・機能が向上した新型のハンディ型のRFID機器を導入する.すでにこの機器を利用するための予備実験は完了しており,今後この機器を物流監視システムに組み込むためのミドルウェアの開発を予定している.これらの機器を利用することにより,より現実的な実証実験が可能になることが見込まれる.
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