研究課題/領域番号 |
15K00041
|
研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
伊藤 聡 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (50232442)
|
研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2019-03-31
|
キーワード | リーグスポーツ / 総当たり戦 / クリンチナンバー / エリミネーションナンバー / 組合せ最適化 / プロ野球 / バスケットボール |
研究実績の概要 |
リーグスポーツにおいて勝敗の組合せが有限であることを考えると、シーズン中のどの時点においても、最終的にある順位以上になることが確定する最小の勝ち試合数(クリンチナンバー)、もしくは逆にある順位に届かないことが確定する最小の負け試合数(エリミネーションナンバー)が存在することは明らかである。本研究は、特定の順位を確定するための勝敗数等について、最適化手法を用いて効率的に求める計算法およびこれを実装するソフトウェアを開発することを目的としている。
このような勝敗数の計算においては、引分の有無や価値、そして同率や同勝点の場合の順位決定方法などにより、求解の難易度は大きく変化する。例えば、引き分けがない場合あるいは勝点方式の場合は、解くべき最適化問題が線形となるのに対して、引分があり勝率で比較する場合には、解くべき最適化問題が非凸となる。さらに、同率・同勝数の場合にタイブレークのための再試合を行わず、得失点差・総得点・当該チーム間の対戦成績などにより順位を蹴ってする場合には、さらに求解の難易度が上がる。特にこの後者に対応するために、対象チームの勝数を固定した上で種々の条件を満たしているか否かを判定する実装が通常行われるが、ワイルドカード方式など複雑な実施形態の下では、このような計算法では対処が難しい。
本研究においては、従来の数理モデルを拡張することにより、同率・同勝数の場合の順位判定をも最適化問題に組み込んだ、より汎用的な計算法を開発している。平成29年度は、提案手法の有効性および汎用性を確認するため、日本のプロ野球とバスケットボール、台湾のプロ野球に対して、混合整数計画問題を解くための汎用ソルバであるSCIP(Solving Constraint Integer Programs)を用いた実装を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の交付決定が11月後半であったため、計画全体が約半年ずれているが、研究計画調書および交付申請書に記載した研究計画は概ね順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
補助事業期間を延長することにより、当初予定していなかったリーグスポーツへの追加の実装を含むこととし、これにより提案手法の有効性・汎用性をより広範囲に確認し、最終取りまとめを行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
提案手法の汎用性および有効性を広範囲に確認するため、当初計画を拡張し補助事業期間を延長したことによる。
|