研究課題/領域番号 |
15K00043
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
伏木 忠義 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50370094)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 調査不能バイアス |
研究実績の概要 |
近年,標本調査の回収率は低くなる傾向が続いており,回収された標本のみから統計的推測を行った場合には調査不能バイアスの影響を受けることが懸念される.そのため,調査不能バイアスの調整に関する研究が世界的に進められているが,日本の調査において調査不能バイアスの調整を行った研究はまだ極めて少ない.特に,調査不能バイアスの調整に利用される補助変数に関して,どのような変数が有用なのかを検証する研究が不足しており,データ解析者が調査不能バイアスの調整を行う十分な知見が得られているとは言えない状況である.そこで,本研究では統計数理研究所が2013年に行った「日本人の国民性 第13次全国調査」を用いて調査不能バイアスの調整を試みた.
まず,「日本人の国民性 第13次全国調査」のM型調査票において回収率は49.6%であり約半数の対象者から回収できていない.関心のある質問項目で調査不能バイアスの調整を行う前に,母集団における割合がわかっている質問項目に関してバイアス調整を試みた.母集団における持ち家住人割合の推定を対象としてバイアス調整を行うとある程度母集団の値に近い推定値が得られるがまだいくらかバイアスが乗った推定値であった.一方,SSP-I2010調査ではうまくバイアスが除去された結果が得られていた.「日本人の国民性 第13次全国調査」では居住期間を質問しておらず,その情報をバイアス調整のための補助変数として利用できない.それが「日本人の国民性 第13次全国調査」で持ち家住人割合を推定した場合にバイアスを残す結果につながったのだと考えられる.また,この結果として居住期間を質問することの有効性が確認された.他の質問項目に関してもバイアス調整を行い,得られた結果については第60回数理社会学会大会で発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「日本人の国民性 第13次全国調査」で調査不能バイアスの調整を試みて,有用な補助変数を確認することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後も調査データに対して調査不能バイアスの調整を行う実証研究を進めるとともに,有用な変数を選択するための理論研究も行っていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
多忙等の理由で想定していた回数の研究打ち合わせ等が行えなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
10万円未満の繰越額であるため大きな計画の変更は必要ないと考えている.
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