近年,社会調査においては回収率が低い状態が続いており,調査結果に基づいて議論を行う際に危うい状況が発生している.調査不能バイアスの調整は補助変数を利用することで調査不能に由来する結果の偏りを調整する方法である.しかし,補助変数をどう選択するかはやっかいな問題となっている.本研究からある設定においては不要な補助変数の存在がそれほど大きく推定精度を悪化させないことが判明した.一方,推定精度を大きく悪化させる可能性がある注意すべき補助変数があることも判明しており,そのような補助変数を用いる場合は注意が必要となる.
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