研究課題/領域番号 |
15K00048
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
安野 卓 徳島大学, 大学院理工学研究部, 教授 (50263869)
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研究分担者 |
北島 孝弘 徳島大学, 大学院理工学研究部, 技術員 (90724104)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 風力発電 / 統計的予測・制御 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,平成27年度に構築したメソ数値予報モデル格子点値(MSM-GPV)自動取得システムにより得られる各種気象予報データ,および,風速・風向観測システムにより得られた観測データを用いて,風速予測システムの予測精度向上を試みた。特に,風速の増減予測のタイミングにズレを生じていることが,思うように予測精度が向上しない原因であることを明らかにし,その上で,風速の増減予測に特化した予測システムの構築を試みた。具体的には,パターン認識手法の一つであるサポートベクターマシンを用いて風速の増減識別を試みた。その結果,6割強の確率で風速の増減予測が可能となった。また,風速・風向予測値を用いた最大出力制御法の構築を目的として,風力発電機のシミュレーションモデル(数学モデル)を導出するために風車シミュレータを試作した。試作した風車シミュレータは,購入した風力発電機とDCモータを直接カップリングしたもので,DCモータを制御することで任意の風速を模擬し,そのとき風力発電機の出力が計測できるようになっている。さらに,導出したシミュレーションモデルを用いて,予測風速を用いた風力発電システムの最大出力制御システムのシミュレーション解析を行った。シミュレーション環境にはPSIMを用い,降圧チョッパ回路を用いた制御システムを構築して提案する最大出力制御アルゴリズムの基礎的な検討を行った。その結果,100%の風速予測精度が得られると仮定した場合では,ある程度の制御性能の向上は確認できた。しかし,100%の風速予測精度を得ることは実際には不可能であるため,現実的な予測精度の場合について,制御性能の向上効果を検討することが課題として残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度では,概ね当初の計画通り研究を進めることができた。しかし,計画当初以上の風速予測精度を得ることができなかったため,研究計画を若干変更して研究を進めた。その結果,風速予測精度が最大出力制御で必要とするレベルまで達成できていない理由が,風速の増減タイミングのズレにあることが明らかとなった。そこで,平成28年度ではさらに研究計画を変更し,サポートベクターマシンを用いて風速の増減予測を試みた。その結果,一定の成果を得ることができた。さらに,当初の研究計画通り,風速・風向予測値を用いた最大出力制御法の構築に着手し,風車シミュレータの試作および提案する制御アルゴリズムの有用性を検証するためのシミュレーション環境を構築した。以上のことから,本研究は概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,試作システムを用いて実験により提案する予測風速に基づく最大出力制御アルゴリズムの検証をすることが最大の目標となる。良い成果を得るためには,風速・風向予測精度の更なる向上に加え,制御アルゴリズムの再検討が必要となる。そこで,実験と平行しながら,これまでに構築した風車シミュレータや数学モデルを用いたシミュレーション環境を有効活用し,制御性能の向上を図る。また,これまでと同様に,国際会議や国内講演会等で定期的に研究成果を発表し,様々な研究者と議論を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
その他の経費として,3月上旬に開催された国際会議の参加費を立替払いにしていたが,その支払いが完了していないため。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年4月7日に支払いが完了している。
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