研究実績の概要 |
国民生活基礎調査について, サンプリングに係る課題が, 岩崎レポート, 美添メモ, 山岡報告書, 池田らの研究において検討され, 調査票項目に橋本班らで検討された. 平成29年度「国民生活基礎調査の非標本誤差の縮小に向けた研究会」では, 主に回収割合低下の影響とその向上に関する検討がなされた. 本研究はこれらの検討を再度確認し, その上で代表性を歪める点を検討した. 本研究は次の(1)~(3)の3点が重要と考える.すなわち(1)集落抽出にともなう世帯数の把握の問題, ①国民生活基礎調査は毎年の調査(大調査3年毎, 中の2年は簡易調査)であるが国勢調査は5年毎であるがゆえに, 5年間における「国勢調査区」内の世帯の異動反映されない. ②調査区(単位区)の大きさは50世帯程度であるが, 都道府県の代表値を作成する過程で, 県の人口サイズ(世帯員数)と県内調査区総世帯員数の比(拡大係数)でもって, 結果を増幅することにより総世帯員数の小さい結果がより大きく反映される. (2)世帯票・健康票を用いた調査では後置番号1,8のみ, 所得票・貯蓄票では後置番号1のみの調査結果となる代表性の崩れ, (3)回収割合の低下, による影響も無視できない. 特に(1), すなわち国勢調査の調査区の設定が5年間隔であるが, その調査区を用いて実施する国民生活基礎調査は規模を考えなければ毎年実施である. この調査区の設定の時間的差異に対し, 若年世帯, 単身世帯などの異動による結果の影響が改題係数によって増大され, 結果を歪めている点が本質的と考えた. これに関し視察した韓国KNHANESでは毎年調査区を見直していた. 介護給付費等実態調査については基本情報、集計情報、詳細情報、居宅サービス計画費情報、受給者台帳からなるデータを, 受給者居住地域保険者番号と被保険者番号を元に突合する過程をまとめた.
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