研究実績の概要 |
疫学研究では,ある因子の曝露量がいくつかの区間にカテゴライズされた区間データとして表され,疾病リスクは,その区間ごとに基準群に対する相対的な値が要約データとして表されることが多い。そのようなデータに対して,非線形な,特に,J型の用量反応関係を検討した。我々は,区間データを適切に取り扱いながら,3次スプラインの曲線当てはめを用いて推定する手法を提案している。本研究では,アルコール摂取と総死亡の関連のメタアナリシスの先行研究(Di Castelnuovo et al, 2006)のデータに対し,その手法を適用した再解析を行い,疫学研究への適用について検討を行った。その成果の一部について研究発表(1)~(2)を行った。 また,平成29年12月に宮崎県立看護大学において『メタアナリシスにおける方法論の新展開とその実践』研究集会を開催し,これらの結果と診断法・予後因子研究や経時測定データのメタアナリシス等における方法論について,医学,疫学,看護学研究,保健医療分野への適用可能性や,それぞれの専門的な観点からの議論を行った。
(1)Horisaki K, Takahashi K, Ito H, Matsui S (2018). A dose-response meta-analysis to coffee consumption and colorectal cancer risk in the Japanese population: Application of a cubic-spline model. Journal of Epidemiology 28 (to appear). (2)中尾裕之.J型の用量反応関係のメタアナリシス:飲酒量と総死亡についてのメタアナリシスの再解析.『メタアナリシスにおける方法論の新展開とその実践』研究集会.宮崎,2017年12月.
|