研究課題/領域番号 |
15K00062
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
西山 陽一 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (90270412)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マルチンゲール / 最大不等式 / 超高次元モデル / スパース推定 / 比例ハザードモデル |
研究実績の概要 |
モデルに含まれるパラメータの次元がサンプルサイズよりも遥かに大きい場合における統計推測理論の研究を行った。より具体的には、D.R. Cox が 1972 年に提唱した比例ハザードモデルにおいて、まず回帰パラメータが無限個ある場合を仮想的に想定し、その真値は有限個を除いてすべてゼロであるが、どれがゼロでない要素の個数や位置は未知であるという設定を考察した。(このような設定は『高次元スパースモデル』と呼ばれる。) この設定において未知パラメータを推定するために、l_1 ノルムをもとにした Dantzig Selector と呼ばれる推定手法を採用し、計算上の負荷の軽減をはかりつつ未知パラメータの l_p ノルムの意味での一致性を証明した。証明においてはマルチンゲールに対する Bernstein の不等式を援用しつつ指数オーダーの Orliz ノルムの計算をし、Kolmogorov に遡る maximal inequality の理論の最新版を用いることによって、大偏差確率のシャープな評価を行った。 先行研究と比較して、一致性の意味が l_2 ノルムに基づくもののみであったものを、より一般的な l_p ノルムに拡張したことと、一致性を示すための十分条件が弱くなったことが本研究で得られた進展である。 この成果により、生存解析おいてモデルに含まれている多数の共変量のうち、どの変数が実質的に危険率に寄与しているかを推定することが可能となった。 なお本研究は早稲田大学大学院基幹理工学研究科の院生の藤森洸と共同で行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように、比例ハザードモデルにおけるスパース推定の研究は順調に進行している。その一方で、理想的な大目標としている maximal inequality をエントロピー条件を仮定せずに導くことに関わる研究は未完成である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2つの目標を設定して研究を継続していく。 ①スパース推定の理論研究を、比例ハザードモデルのみでなく、拡散過程モデル等を含めた他の統計モデルにおいて展開していく。 ②maximal inequality の研究方向を再考察し、マルチンゲールに対する指数オーダーの Orliz ノルムを Burkholder の不等式のアナロジーの形で導出することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行上で真に必要な経費を執行した結果、端数として 4,922 円が次年度使用額として繰り越される結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の物品費の一部として使用する予定である。
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