研究課題/領域番号 |
15K00065
|
研究機関 | 独立行政法人大学入試センター |
研究代表者 |
櫻井 裕仁 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 准教授 (00333625)
|
研究分担者 |
汪 金芳 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10270414)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ブロック・リサンプリング法 / ブートストラップ法 / 平均の有意差検定 |
研究実績の概要 |
本研究では,2群の平均(曲線)の有意差検定法の開発とその応用に関する研究を行うことを目的とする。特に,各群のデータがi.i.d.ではない,縦断的データの場合を主な検討の対象とする。また本研究では,より実用的な方法の研究を行うことも目的とする。すなわち,各群の母集団分布には正規分布など特定の分布を仮定せず,かつ,データの従属性を考慮するブロック・リサンプリング法に基づく検定法を中心とした研究を行うことも目的とする。 本年度は,ブロック・リサンプリング法と総称される方法のうち,moving block bootstrap法,circular block bootstrap法,stationary bootstrap法の3つを主な検討の対象とし,これらに基づく検定法に関する成果が得られた。上述した3つの方法と同様にブロックを生成し,リサンプリング法を工夫すれば,隣り合うデータ間の相関が弱く,2群の標本サイズがかなり小さい場合においても,従来の方法を改善する検定法を構成できる場合のあることを確認した。数値的検討により,次の3つの知見が得られた。(1)検定統計量として,各群の平均系列の差の絶対値の和,各群の平均系列の差の2乗和,各群の平均系列に挟まれる部分の面積に対する推定量等が用いると,既存の検定法と比較して,検定のサイズおよび検出力の観点から性質のよい検定法を構成できること。(2)検定統計量を固定して3つの検定法間の検出力の比較を行うと,それらは同程度となること。(3)検定法を固定して(1)で述べた検定統計量間の検出力の比較を行うと,各群の平均系列に挟まれる部分の面積の推定量を検定統計量として用いる検定法の検出力が最大となること。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,2群が対応のない縦断的データとして与えられる場合に適用することの可能な,2群の平均に関する有意差検定法の研究を行い,研究実績の概要の項で述べたような知見が得られた。この方法は,母集団分布には特定の分布形を仮定せず,かつ隣り合うデータ間の従属性を考慮するブロック・リサンプリング法に基づく検定法である。研究実績の概要の項で目的として述べたような検定法に関する研究成果が得られており,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度と同様な方針により,今後も本研究課題を進める予定である。すなわち,国内外の文献調査を行い,各種の研究集会に参加することにより,本研究で対象とする問題の現実的具体例を引き続き収集する。また,本研究で対象としている縦断的データの場合に妥当と考えられる検定統計量の検討,および,検討の対象とした検定統計量の帰無分布の近似法の研究をブロック・リサンプリング法の観点から行う。得られた研究成果については,各種の研究集会や学術論文として発表する予定である。
|