研究課題/領域番号 |
15K00071
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
金子 晴彦 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (70392868)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | データバス / 同期誤り / 挿入/削除誤り |
研究実績の概要 |
2016年度までに,データ圧縮技術を適用することによりデータバスの実効スループットを向上する手法を研究し,圧縮率,圧縮・伸長処理遅延,処理スループット,等の観点からデータバスに適した圧縮法を提案してきた.2017年度はこれと異なるアプローチとして,バスのクロック周波数を上げてスループットを向上するため,高スループットデータバスに適した誤り制御符号の構成について研究を行った.従来の誤り制御符号の多くは,ランダムビット誤りやバースト誤りなど「値」の誤りを訂正するものであるのに対し,高速なデータ伝送においては同期誤りが発生する可能性が考えられる.そこで本研究では,同期誤りを訂正するための符号として,挿入/削除/反転誤り訂正符号や,タイミングドリフト通信路に対する連接符号化法,等を検討した.その結果,主に以下に示す成果が得られた. (1) 高速通信路等における同期誤りでは,挿入/削除誤りが連続して2回以上発生する確率が低いと考えられることから,挿入/削除誤り間の依存関係を考慮した通信路モデルと符号化法を提案した. (2) 挿入/削除通信路モデルにおいては,同期のずれが1ビット単位で生じるのに対し,実際の通信路では1ビット未満の幅の同期ずれが蓄積して誤りが発生することが考えられるため,同期ずれを1/nビット幅で表現するタイミングドリフト通信路を定義し,これに対する連接符号化方を提案した. (3) 同期誤り通信路に対し,通信路への入力シンボルの事前確率分布を不均一化することにより,通信路の相互情報量が増加できることを明らかにした. (4) 無記憶通信路等で用いられているPolar符号を同期誤り通信路に適用するための基礎的な検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに,高速データバスに対するデータ圧縮法と誤り制御符号化法をそれぞれ提案することでき,研究計画に沿って概ね順調に進展している.成果発表の一部は2018年度に行う.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は,前年度までの研究結果をもとに,成果発表等を行う.必要に応じて誤り制御符号化等について追加的な研究を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に得られた研究成果を次年度に発表することとしたため,次年度使用が発生した. これは学会参加費,旅費,等に使用する計画である.
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