近年はスマートフォン、ディジタルカメラ、ドライブレコーダ、監視カメラ等の普及により、画像処理回路の開発競争が激化している。それらはハードウェア上で動作するだけではなく、モバイル機器のソフトウェアやPC内のGPUなど、様々なプラットフォーム上での動作が求められる。本プロジェクトは、そのような画像処理ためのハードウェア/ソフトウェア/GPUの3つを同時に開発可能な自動合成ツールの構築を目標として実施された。 1年目(平成27年度)は既に開発済みの画像処理設計ツールである“Image Processing Builder”に対して、世界的に普及している画像処理ライブラリである“OpenCV”を組み込むことに成功した。2年目(平成28年度)は、画像処理アルゴリズムのモデル記述から、OpenCV用のC++言語を自動生成するためのエンジン部を作成した。3年目(平成29年度)は、自動生成されたC++のソースコードファイルから、実際にマイクロソフトのVisual C++ 2015コンパイラを使って、ソフトウェアを構築できることを示した。そして、計画通り、本設計ツール“CV Builder”をインターネット上で一般公開した(http://cas.eedept.kobe-u.ac.jp/WelcomeES1/OpenSoft/CVB/)。 上記の設計ツールは、画像処理アプリケーション開発者にとって非常に有用であるのみならず、将来の画像処理技術者を目指す学生の教育にも利用できる。なお、以上の研究過程で得られた各種のノウハウについては、学術論文15件、国際会議28件、国内会議33件において発表した。このように、本プロジェクトは学会および産業界に大きく貢献した。
|