研究課題
本年度は製造後のLSI中にハードウェアトロイ回路が含まれているかを網羅的に検出するために用いるLSIに追加するトロイ検出用回路の効果的な挿入箇所を探索する手法について検討した.昨年度,この探索手法は大域的な探索手法を用いてたが,まだまだ追加するゲート数が多くなり,面積オーバーヘッドが大きいという欠点があった.そこで本年度はこの面積オーバーヘッドをさらに削減することを目的として,探索手法について検討を行った.今年度はできるだけ論理的に最適に近づくように,数理的なアルゴリズムを用いた探索手法を考案し,挿入箇所探索プログラムを作成した.それぞれのプログラムを複数のベンチマークに適用し,面積オーバーヘッドを比較した.その結果,従来の手法より,挿入箇所数を削減できた.また多数の入力に対する出力応答の圧縮回路についても引き続き検討を行った.圧縮回路が持つべき性質として,少なくとも一つの分割された回路からの入力が誤っている際に,誤った値を出す性質が必要であることがわかった.これは本手法は多数に回路分割をおこなうため,分割された多数の回路から多数の圧縮器にそれぞれにデータを送り,個別の圧縮器でで圧縮し,その結果を比較することで,誤りを見逃す確率を削減することができることがわかった.この提案手法について,全体的な構成の検討を行った.パタン生成器は共有可能であるが,応答圧縮器は共有すると見逃し確率が高くなることが懸念されることがわかった.最終的に,論理的な回路分割手法の提案と実装,小規模回路での評価,応答圧縮機の構成の検討,提案手法全体の回路構成について達成できた.しかし回路分割の現実的な規模の回路における評価,提案する応答圧縮器の実装および評価,提案手法全体の実装評価が達成できなかった.
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IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E100.A ページ: 2824-2833
10.1587/transfun.E100.A.2824