これまでの成果のレビュー、評価を行うとともに、新たに判明した技術とその開発、手法やツール全体の総合的評価を行った。 1) 発想法との融合:前年度までに開発した発想法で得られたアイデアをゴールに対応付ける手法の再検討を行い、アイデアの属性を使って変換する手法に洗練し、再評価を行った。 2) 詳細化パターンを用いたゴールグラフと問題図の共詳細化支援:ゴール指向とプロブレムフレーム法の融合において、各々の詳細化を進める共詳細化のパターンを開発し、グラフ変換システムを使って共詳細化の半自動化を支援するツールを開発した。共詳細化のパターンでは、ゴール詳細化パターンとともに用いるべきプロブレムフレームを組み合わせ、適用することにより、ゴールグラフ、プロブレムフレーム法の問題図ともに詳細化していく。また、ゴール記述中に出現している語句をもとに問題図中で不足しているドメインやドメイン間のインタラクションを補填する。事例により、共詳細化やドメイン、インタラクションの発見がうまく行われることを確認した。 3) 自然言語テンプレートによる要求詳細化の支援:産業界で用いられている自然言語で要求を書く際の標準パターンをゴール記述に導入し、標準パターンに合わない記述は意味的に不足した記述があるとし、その記述を新たなゴールとして生成したり、問題図のドメインやインタラクションを追加したりする規則も開発した。具体的には、EARSと呼ばれる動作仕様を記述する自然言語のテンプレート集を用い、特に動作が起こる条件記述の部分の記述がないなど、パターンに合わない場合、条件節を記述したゴール、条件が起こるドメインやインタラクションを追加し、詳細化する。
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