研究課題/領域番号 |
15K00104
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高田 眞吾 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60273843)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ソフトウェアテスト / モバイルアプリケーション / コンテキスト情報 / イベント |
研究実績の概要 |
スマホやタブレットなどの携帯端末向けのアプリケーションは,従来のPC上のアプリケーションと異なり,画面を通したユーザの意図的な入力以外に様々なコンテキスト情報を入力として受け付けうる.しかし,コンテキスト情報は,アプリケーションに悪影響を及ぼす可能性がある.本研究では,コンテキスト情報に基づいたモバイルアプリケーションのテストケース生成支援環境の構築を目的とする.平成28年度は,その環境構築のために次の4点を主に行った. (1) 平成27年度から引き続きコンテキスト情報を,WWWなどで公開されているスマホなどの情報や,オープンソースのアプリケーションなどをもとに調査した. (2) 平成27年度に作成した二種類のテストケース生成支援環境のプロトタイプの評価を行った.プロトタイプの一つは,コンテキスト情報をイベントととらえ,複数のイベントを組み合わせたパターンをリポジトリに保存し,それを検索することによりテストケースを生成する.その結果,従来手法ではテストできなかった部分までテストできるようになった.もう一つのプロトタイプは,画面遷移モデル,ユーザによる使用モデル,プログラム変更情報の三種類の情報からテストケースを生成する.プロトタイプは従来の手法よりも網羅率の向上がみられた. (3) 上記後者のプロトタイプは,画面遷移の不足があったため,それを補う手法を提案した. (4) テストケースの優先順位付け及び選択について,ペアワイズなど様々な角度から検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の早い段階でプロトタイプの実装・評価を完了した.さらに,その改良にとりかかり,実装がほぼ完了した.元々平成28年度にテストケースの優先順位付けやテストケースの選択手法の提案・実装を目標としていたが,検討段階で平成28年度が終わっている.しかし,これは主に片方のプロトタイプにおける問題(画面遷移の不足)を解決することを行ったためであり,本来最終年度に行うことを繰り上げたことが原因である.以上より,「おおむね順調に進展している」と考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の予定は,おおむね当初の申請時と変わらず,次のとおりである. (1) 引き続きコンテキスト情報の調査を実施する. (2) 平成29年度の早い段階で,画面遷移の網羅不足を補うために提案した手法の評価を行う. (3) テストケース優先順位付け・選択手法の機能を,テスト生成支援環境のプロトタイプに追加する. (4) テストケース生成支援環境により生成したテストケースを自動実行し判定するまでの手法を検討する. (5) 以上の各提案事項をまとめ,テスト支援環境の評価と改良を重ねる.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは,主に物品費および謝金が予定よりもかなり少ない額で済んだためである.
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次年度使用額の使用計画 |
コンテキスト情報の調査や評価のために使用する携帯端末の購入や,謝金として使用する予定である.
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