研究課題/領域番号 |
15K00105
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
島崎 みどり (菅谷みどり) 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50434288)
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研究分担者 |
中野 美由紀 産業技術大学院大学, その他の研究科, 教授 (30227863)
松原 豊 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (30547500)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ロボットミドルウエア / 通信ミドルウエア / ROS / IXM / リハビリロボット / ビックデータ / コミュニケーションロボット / 介護支援ロボット |
研究実績の概要 |
本研究は,多機能かつ多数のロボットが連携して稼働するビックデータ時代のロボットプラットフォームを想定し,(1)情報技術を応用したロボットアプリケーションの開拓 (2)プラットフォームにおいて,クライアントでは要求抽出及び設計/実装/評価,サーバでは,基礎実験評価,最終目標となる仕組みの検討を実施した. (1)では,ロボットによる a.リハビリ支援,b.コミュニケーション支援,c.生体情報による感情推測手法の確立を行った.a. では,センサ利用によるユーザの歩幅推定手法,クラスタ分析によるユーザ特性抽出,インターフェイス利用による動機付け支援を提案した.b. では,複数の行動パターンのオートマトンをもとにしたモデル化と設計,評価を実施した.アンケート分析にて分散分析及び交互作用,選択肢群ごとの多重比較により,ユーザの属性によりロボットの好ましい行動が変わることが分かった.c. では,生体情報(脳波,心拍)を用いた感情推測では,Russells’ Model を改善し,推定誤差の改善に成功した. (2)では,(1)のアプリケーションを想定し,実現のための通信性能/安全性を考慮したIXM(Information eXchange Middleware ) の設計,クライアントのプロトタイプ実装を行った.共有メモリによる高速化では,ROSのpub/sub型情報共有システム内のスレッドモデル実装との比較評価を実施し性能向上を確認した.サーバモデルによるロボット制御では,複数台ロボットからのログ収集,動作特性調査,また,データ転送遅延調査を実施した.また,外部に資源を用意し,オペレーティングシステムの資源制御を含む統合的ミドルウエアの設計に取り組んだ.さらに,緊急応答などのメカニズムをオペレーティングシステムの資源制御メカニズムと連携し,ポリシ制御する仕組みを検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多機能かつ多数のロボットが連携して稼働するビックデータ時代のロボットプラットフォームを想定した(1)ロボットアプリケーション研究では,ICTを利用した独創的な高齢者支援ロボット,コミュニケーションロボットの行動モデルの構築,生体情報(脳波,心拍)の利用など,新たなICTロボット分野の開拓を行った.結果,情報処理学会第78回全国大会の2件学生奨励賞を受賞した.生体情報(脳波,心拍)による感情推測手法では,心理学専門家との共同研究につながった.また,成果は国内学会査読付き2本, 国際学会(18th International Conference on Human Computer Interaction International 2016 )査読付き2本の採録,研究会10本となった.一方,(2)プラットフォーム研究は,IXMのモデルとROS(Robot Operating System)のpub/sub Model, 特にリアルタイム制御を目的とし,ROS (Robot Operating System)との比較評価を実施した.本成果は,国際学会を含む査読付き2本, 研究会発表4本の成果以外に研究を実施した学生の受賞(大学内電気電子情報専攻の専攻賞)につながった.サーバ側での群ロボットのクライアント制御については,要求抽出,基礎実験,設計を行った.これらの成果は,第170回システムとLSIの設計技術・第36回組込みシステム合同研究発表会(ETNET2015)の他,第8回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(第14回日本データベース学会年次大会)等で発表,現在まで国際会議を含む5件の発表を行った.さらに従来情報系との連携が少なかった機械系学会(システム制御情報学会研究発表講演会(SCI’16))などの学会参加を通じ実践的な実装に向けた布石となっている.
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今後の研究の推進方策 |
多機能かつ多数のロボットが連携して稼働するビックデータ時代のロボットプラットフォームに向けて,(1) 平成27年度のロボットアプリケーションでは,ICT技術とロボット技術を融合した介護支援,コミュニケーション行動モデルの多様化,生体情報による感情推測手法の確立を行ったことから,それをふまえ.平成28年度は,さらに介護支援ロボットによる識別問題,手法の改善を行う.コミュニケーションロボットでは,人の属性の判別に,生体情報(心拍)計測による”わくわく”を用いた識別を行うことを検討している.属性の分類,適応動作の評価方法の確立と実現により柔軟な処理の方法論を確立する.また感情推測については,心理学研究者と共同し授業への導入,評価手法の確立,ロボットを用いた分散アプリケーションの開拓を予定している. (2) ロボットプラットフォーム開発は,平成28年度は,IXMの実アプリでの評価,また,ROS2.0で導入予定の共有メモリ方式と,IXMの比較を行う.またサービス全体をみた場合のリアルタイム処理のインパクトを評価する.また,サーバ側については,基礎実験で不明であった電磁波の影響の調査を行う.外部に資源を用意し高度な計算処理では,オペレーティングシステムの資源制御を基礎とした統合的ミドルウエアの実装を行い,データ要求の特徴に応じた,緊急応答などのメカニズムをオペレーティングシステムの資源制御メカニズムと連携し,ポリシ制御する仕組みを実装,評価する.また,動作特性の抽出とバッテリアルゴリズムの改善によるクラスタ分析/回帰分析をプログラム化し,障害機器をリアルタイムで特定する機能を拡張する,ロボット制御機器を100台購入し,その評価によるボトルネック抽出などの実証実験を推進することでより実践的なプラットフォーム評価とし,プラットフォームに技術を統合した研究開発をすすめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議旅費が想定していた金額よりもかからなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会への学会旅費として利用することを想定している.
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