研究課題/領域番号 |
15K00108
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山本 哲男 日本大学, 工学部, 准教授 (40388129)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コード補完 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
当該年度は前年度に考案した手法を実装して手法の有効性を評価した.考案した手法は,自然言語処理の分野において,単語が文章中に表れる過程を確率過程とみなしてある単語がある位置に出現する確率がどの程度か計算し,単語の出現を予測するニューラルネットワークをソースコードに適用したものである.この際,ニューラルネットワークには回帰結合ニューラルネッ トワーク(recurrent neural network)を利用した. 手法をソースコードに適用することで,ソースコード中のあるメソッド呼び出し文を補完する際に,適切と思われる順に並び替えたメソッド一覧を開発者に提示することが可能となった. 提案する手法を実装し,10プロジェクトのオープンンソースソフトウェアを用いて実験を行った.そして,回帰結合ニューラルネットワークの様々なパラメータが実験結果にどのように影響するかを調査した.実験の結果,典型的なサンプルソースコードの補完においては,38%の精度で補完候補の一位に必要なメソッド呼び出し文が現れることが確認できた. さらに,本手法の有効性を評価するために既存研究で提案されている手法との比較を実施した.既存手法では,メソッド名の最初のn文字を入力した時点でのTop-k精度を計測している.先頭の2 文字を入力した時点で,最も精度が良かったアルゴリズムのTop-1精度は約60%で,Top-10精度は約88%であった.精度を比較するために,本手法もメソッドの先頭2文字を入力した時点での精度を計測した.その結果,既存手法より精度が高く,多くのプロジェクトでTop-1精度,Top-10精度共に高い結果となった.最も高いプロジェクトではTop-1精度は89%となり,実験の対象としているソースコード群は異なるが,既存のメソッドの推薦手法に比べ精度が高い結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した計画通りに研究が進んでいる.実装をして評価実験をすることで手法の有効性が確認できた.当該年度で実施した研究については過不足なく達成できている. 考案した手法を実装することにより,有効性の確認ができ,既存手法に比べ精度の高い推薦が実現できている.また,研究成果を学会で発表することで,多くの改善点が得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
計画通り,今年度得られた改善点を実装して,精度向上を目指す.さらに, 国際会議などで研究発表を行い,海外の研究者などと議論を交わしさらなる改善点を探る.その結果を踏まえ、さらなる知見が得られた際には,論文誌へ投稿する論文にまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
主として旅費として計上していた額が執行できなかった.当初,国際会議にて発表する予定であったが,参加する機会が得られなかったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降,国際会議に参加して研究成果を発表できる機会が得られるよう計画を練り直す.
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