研究課題/領域番号 |
15K00109
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
海谷 治彦 神奈川大学, 理学部, 教授 (30262596)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 要求工学 / ゴール志向分析 / メトリクス / モデル変換 / 可視化 |
研究実績の概要 |
各ステークホルダが達成したいゴール,達成を請け負わなければならないゴールの依存関係をモデル化した.本モデルにおいて,あるゴールを達成したいステークホルダをディペンダー,達成するゴールをディペンディーと呼ぶ.これは,もとになるi*モデリング言語での名称をそのまま用いた.そして,ゴール毎にセキュリティやユーザビリティ等の品質特性を定義し,ディペンダーがどの程度,当該ゴールを達成したいか,およびディペンディーがどの程度,当該ゴールを達成できるかを,数値としてモデル化することとした.本モデル化の提案は2016年度に開催予定の国際会議に投稿を行なった.また,i*のモデル表記は一般的な技術者に馴染みが薄いため,i*をUMLクラス図で表記する記法を定義した. ゴールに付随する品質特性を網羅するためには,多視点からゴールを分析する必要がある.例えば,あるゴールを分解することを想定した場合でも,機能的な分解,非機能的な分解,戦略の違いによる分解等,多数の視点がある.これらの多視点からゴールを分析する手法を考案し,国際会議で発表を行なった. ディペンダーやディペンディーの程度を表す数値を決めるのは容易では無い.この数値を決める支援を行なうため,ゴールにおいて注目している対象物のモデル(ドメインモデル)とディペンダーやディペンディーとの関係を分析するための手法を提案し,評価した.例えば,「自動車を修理したい」というゴールにおいて,自動車はゴールで注目している対象物である.このゴール達成を望んでいるディペンダーが自動車の所有者か否か,そして,このゴール達成を行なうディペンディーが修理の専門家か否かで達成度合いは大きく変わってくる.このような分析を通して前述の数値化を系統的に行なう手法を考案し,2016年9月に開催予定の国際会議(英国)に投稿を行ない採録が決定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究で最も困難だと思われた,ディペンダーの達成願望およびディペンディーの達成能力の度合いを数値化する支援を,ゴールが注目している対象物のモデル(ドメインモデル)とディペンダーおよびディペンディーとの関係の分析によって行なうことが可能となった.これによって,メトリクスの定義の基盤となる数値の信頼性を担保することが可能となった.メトリクス自体も完成しており,既に終了したシステムの報告書等の評価を反映する結果となることも確認できた.よって,研究の進捗は予定通りといえる. 評価を行なうためのモデリングツールは当初予定していたフレームワークでは無く汎用UMLモデリングツールastahのJava APIを用いることになった.これによって,i*に馴染みの無い分析者でもモデリングを行なうことが可能となった.また,astahの動作は当初予定していたeclipseのフレームワークより数段軽快に動作するため,分析作業が加速された.この点からも,研究の進捗は予定通りと言える.
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今後の研究の推進方策 |
2015年度が計画通りに研究を遂行できたため,2016年度以降の研究計画内容に変更は無い.モデリングツールの実現方法は変更したが,JavaによるAPIを利用する点では同様であるため,システム導入効果の可視化については,実現においても変更の必要が無い.モデル変換においては,当初はATLの利用を想定していた.これは Eclipse モデリングフレームワーク上での動作を想定していたためである.この点においては,モデル変換ツールの独自開発もしくは汎用クラス図に対応したモデル変換ツールの利用を検討する.
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