研究課題/領域番号 |
15K00111
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
青山 幹雄 南山大学, 理工学部, 教授 (40278073)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ソフトウェア工学 |
研究実績の概要 |
平成28年度に予定していた「連続的ソフトウェア工学のモデルと要素技術の開発」,ならびに,「連続的ソフトウェア工学支援環境のプロトタイプ開発と評価」について,下記の3つの課題について研究を行い,その成果を国内外で論文として発表した. (1)連続的ソフトウェア工学のモデルと要素技術の開発:Web APIを連携してシステムを構築するためのRDFリソースシェイプを定義した.さらに,APIの直接連携を可能とする仕様記述言語CSELをスマートコントラクトの概念に基づきRDFを用いて定義した.また,本研究成果を発展させ,RDFよりも表現能力の高いプロパティグラフに着目し,プロパティグラフに基づくソフトウェア開発の構造モデルを提案した.本モデルは開発の組織変更や成果物の構成などの構造的変化をグラフ上で連続的に表現できるという特長がある.さらに,開発の進捗に伴う時間的な構造変化も連続的に表現可能である.この成果は連続的ソフトウェア工学の基礎技術として有用な成果と言える. (2)連続的ソフトウェア工学支援環境のプロトタイプ開発と評価:CSELを用いたAPI連携の支援環境を,ブロックチェイン技術を用いて開発し,そのプロトタイプをブロックチェインのプラットフォームであるEthereum上に構築した.さらに,例題を用いてプロトタイプ支援環境の動作の正常性などを確認した.また,上記(1)で提案したプロパティグラフに基づく連続的ソフトウェア工学を支援する環境のプロトタイプを開発し,GitHub上にある機械学習ソフトウェアのオープンソースソフトウェア(OSS)開発の過去5年間のデータを利用してソフトウェア開発の進化を分析し,組織構造や開発者の行動に関する新たな特性を発見した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定に従って,次の2つの課題について研究を進め,成果を国内外で論文として発表した. 1. 連続的ソフトウェア工学のモデルと要素技術の開発 連続的ソフトウェア工学の成果物をリソースとして表現するためのRDFを基礎とする言語CSELとそのリソースシェイプの定義:Web APIを連携してシステムを構築するためのRDFリソースシェイプを定義した.さらに,APIの直接連携を可能とする仕様記述言語CSELをスタートコントラクトの概念に基づき定義した.また,RDFよりも意味表現能力が高いプロパティグラフを用いたソフトウェア開発のモデル化に取り組み,オープンソースソフトウェア開発を対象に,プロパティグラフに基づく開発のモデルを提案し,開発の構造と進化の構造を分析する方法を提案した. 2. ハイブリッドクラウド上で連続的ソフトウェア工学支援環境のプロトタイプ開発と評価 CSELを用いたAPI連携の支援環境を,ブロックチェイン技術を用いて開発し,そのプロトタイプをブロックチェインのプラットフォームであるEthereum上に構築した.さらに,例題を用いてプロトタイプ支援環境の動作の正常性などを確認した.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に基づき,平成29年度は,下記の課題について研究する.成果は内外の国際会議,ならびに,ジャーナル等へ発表する. 1. 連続的ソフトウェア工学のモデルと要素技術の開発 前年度に開発したRDFに基づく仕様記述言語CSELに加え,プロパティグラフに基づくシステム開発のグラフモデルの研究成果を発展させ,連続的ソフトウェアとその開発をプロパティグラフを用いたモデル化方法を開発する. 2. ハイブリッドクラウド上で連続的ソフトウェア工学支援環境のプロトタイプ開発と評価 前年度に開発したプロトタイプを発展させ,プロパティグラフに基づく連続的ソフトウェア開発を支援する環境を構築し,提案方法の有効性,妥当性を評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度は,連続的ソフトウェア工学の基礎理論の研究に注力し,かつ,プロトタイプ開発もオープンソースソフトウェアを用いて,Web上で提案方法の検証を行ったため当初の予算は,29年度の開発環境の本格的な開発へ充当することとした.
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次年度使用額の使用計画 |
28年度に基礎理論の提案とプロトタイプ開発を行い,提案方法の検証を行った結果,提案方法の有効性が確認できたことから,29年度に本格的な環境開発,ならびに,成果の発表に充当する.
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