研究課題/領域番号 |
15K00116
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大木 英司 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70524156)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エラスティック光ネットワーク / フラグメンテーション / 整数線形計画問題 / NP完全 |
研究実績の概要 |
1重化のみの光パスを設定するエラスティック光ネットワークを想定し,無瞬断デフラグメンテーションのための経路分割方式を提案する。提案方式では,スペクトルのリチューニングのためにスペクトルを移動する際に,可能な限り他の光パスとの衝突を回避できるように,異なるスペクトル割当ポリシーに応じた経路群を分割する。従来の無瞬断デフラグメンテーションは,ファーストフィット割り当てを用いているので,デフラグメンテーションが有効的に進行しないという問題が生じる。ファーストフィット割り当てはスペクトルを下の方へと詰める。これはリチューニングされる必要がある多くの光パスをもたらし,それぞれの光パスが他のスペクトルのリチューニングを妨げることがある。提案方式は,スペクトル割当ポリシーとして,ファースト・ラストフィット割当ポリシーを採用する。ファースト・ラストフィット割当ポリシーでは,1つの経路群に対しては,ファーストフィット,他方の経路群に対しては,ラストフィットを用いる。異なる分割に割り当てられる光パスは他の光パスを妨げることはない。したがって,経路分割はリチューニングの際に光パス間の干渉を回避することができる。経路分割問題は全体の干渉を最小化するように経路を分割する問題であり,これを整数線形計画問題として定式化する。定義された経路分割問題は,NP完全であることを証明する。 次に,経路分割問題は全体の干渉を低減する発見的手法を導入する。発見的手法として,最小カットを用いた負荷分散経路選択アルゴリズムについて述べる。性能評価により,提案方式は従来方式よりも,光パスのブロッキング率を低減させ,全体の許容トラヒック量を増加させることを示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1重化のみの光パスを設定するエラスティック光ネットワークを想定し,無瞬断デフラグメンテーションのための経路分割方式を提案した。提案方式を実現するために,経路分割問題を導入した。この経路分割問題は全体の干渉を最小化するように経路を分割する問題であり,これを整数線形計画問題として定式化した。定義された経路分割問題は,NP完全であることを証明した。
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今後の研究の推進方策 |
複数の信頼度クラスが混在する光パスに対して,波長スペクトル分断を抑制する弾力性のある光ネットワーク制御技術を確立する。理論的,および,実験的なアプローチを用いて研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
計算機を購入して,計算機実験を行い,研究成果を国際会議に発表する予定であったが,今年度は理論的な検討に注力したため,理論検討の結果と計算機実験結果と合わせて,国際会議に投稿するように方針を変更した。
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次年度使用額の使用計画 |
理論検討の結果と計算機実験結果と合わせて,国際会議に投稿する。
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備考 |
京都大学 大学院情報学研究科通信情報システム専攻 大木研究室(知的通信網分野) http://icn.cce.i.kyoto-u.ac.jp/member/profile02
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