研究課題/領域番号 |
15K00119
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大野 浩之 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (90213818)
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研究分担者 |
北口 善明 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 助教 (30537642)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | IoT / Internet of Things / 情報セキュリティ |
研究実績の概要 |
多数の超小型の電子機器や無数の超小型のセンサやアクチュエータ類が世界規模で連携しうる時代が到来した.このようなネットワークや状況のことを IoT (Internet of Things)と呼ぶことが多い.本研究ではIoTの爆発的な普及に鑑み「IoT時代のIoTデバイスのセキュリティ確保」を実現し、今後の情報化社会の安全と安心の確保に貢献することを目指している. 平成27年度は、研究計画に従い,(1)セキュリティゲートウェイ(Raspberry Gate)を構成し,その基本性能を評価する,(2) ソーシャルな意見集約機構を用いたソフトウェア更新の同期運用機構(Raspberry Guardian)の試験運用を開始し,この同期運用機構が有効に機能することの調査,の2点を実施した. まず,(1)については Raspberry Pi を用いたセキュリティゲートウェイを作り,基本的な通信速度を定量評価した.その結果,単なるブリッジとして構成したRaspberry Gate は,下流に位置するIoTデバイス群がインターネット側とやりとりする際に生じさせるトラフィックを余裕を持って処理できることを明らかにできた。さらに、簡単なセキュリティ・フィルタリングであれば、性能の低下は僅かであり、IoTデバイス向けセキュリティゲートウェイとして実用可能であることを確認できた.このことについては、情報処理学会ムDICOMO2015で口頭発表した. 次に,(2)については、情報処理学会DICOMO2015において,基本構成について言及したあと試験運用に向けた調整を続け、セキュリティ更新を含むソフトウェア更新を同期的に配布する仕組みを主として机上でシミュレーションし,意図した動作することを確認した.現在、これに基づいた実装を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である今年度は,(1)Raspberry Gate を構成し,セキュリティゲートウェイとしての基本性能を評価,(2)Raspberry Guardian の試験運用を開始し,これに基づく同期運用機構の有効性の調査,の2点を実施した. (1)については Raspberry Pi を用いたセキュリティゲートウェイを作り,基本的な通信速度を定量評価した.その結果,単なるブリッジとして構成したRaspberry Gate は,下流に位置するIoTデバイス群がインターネット側とやりとりする際に生じさせるトラフィックを余裕を持って処理できることを明らかにできた。さらに、簡単なセキュリティ・フィルタリングであれば、性能の低下は僅かであり、IoTデバイス向けセキュリティゲートウェイとして実用可能であることを確認できた.このことについては、情報処理学会ムDICOMO2015で口頭発表した.好ましい結果が得られているので進捗状況はは、良好な状況にある. 次に,(2)については、情報処理学会DICOMO2015において,基本構成について言及したあと試験運用に向けた調整を続け、セキュリティ更新を含むソフトウェア更新を同期的に配布する仕組みを主として机上でシミュレーションし,意図した動作することを確認した.現在、これに基づいた実装を進めている.こちらも、平成27年度末(3月最終週)に実装検討会を実施し平成28年度初頭に大幅な進展が見込める状態になった。よってこちらもおおむね順調に進展していると言える. 以上から、研究全体の評価区分を(2)の「概ね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
IoTデバイスの急速な普及により,IoTデバイスのセキュリティ確保は社会的にも大きく注目され,早期の対応が強く要請されているしたがって,そのような社会的要請の一翼を担い得る本研究の推進も加速する必要がある.この点に配慮しつつも,平成28年度は当初の研究計画に基づき粛々と研究を遂行する.具体的には,(1)Raspberry Gateの構成方法を確定させ,(2) Raspberry Guardian の本格運用に入る.さらに(3)Raspberry Guardian の運用に賛同する研究者や技術者を集めて運用規模を少しずつ拡大する。また(4)これらの成果の公開も開始する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は約8万円弱の次年度使用額が生じた.この金額が生じた最大の理由は.本研究の内容について議論・意見交換を行う予定でいた第95回IETF会合(開催地:ブエノスアイレス)の開催時期が,当初想定していた平成28年3月ではなく同年4月上旬になったことにある.当初の予定であれば参加は可能であったが,4月上旬は新学期開始直前繁忙期にあたり学事や業務の兼ね合いから参加を見合わさざるを得なかった.この参加見直しに伴い,旅費等の支出が減少した.その分で直近の本研究遂行で必要となる機材や消耗品を適切に購入したが,結果的にこの金額が次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は10万円未満であり,本研究で執行する予算規模に比べれば比較的少額であるため,次年度使用額の発生は大きな研究計画の変更には至らない.2年度目である平成28年度は,平成27年度に参加できなかったIETF会合(年3回開催されている.海外出張となるため国内出張と比べて旅費等の支出が相対的に高くなり,本研究で確保した予算に占める割合も比較的大きい)に参加したり,実験に必要な機材を適切に調達したりする予定であるため、当該次年度使用額は,これらの支出の中に吸収され適切に執行される.
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