研究課題/領域番号 |
15K00124
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
太田 能 神戸大学, その他の研究科, 教授 (10272254)
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研究分担者 |
高木 由美 神戸大学, その他の研究科, 助手 (70314507)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | センサーネットワーク |
研究実績の概要 |
申請者は、無線マルチホップネットワーク技術を無線センサネットワークに応用することを試みている。本申請では、双方向フロー間でのNC(Network Coding)とPAを組み合わせるIFNCPA(Inter Flow NC with PA)の開発し、高効率かつ高信頼な双方向通信が実現することをねらった計画を立てている。 本年度は、研究実施計画に照らし合わせて、1)ネットワークシミュレーションによる基礎検討と2)マルチエージェントシミュレーションによるシステムレベル評価に取り組んだ。 1)については、検討を進める過程において、エンコード待ち時間を適切に設定しなければ、特に低負荷時に遅延が大きくなるという問題が見出された。またPassive ACKの衝突回避も必要であることが明らかなった。そこで、パケット到着間隔の実測値から算出される平均パケット到着間隔およびその平均偏差を用いてエンコード待ち時間を動的に設定する仕組みや、エンコードパケットを受け取った隣接ノードのうち一方が送信タイミングをずらすためのオフセット時間を適切に設定することでPassive ACKの衝突を回避する仕組みを開発した。この成果については、電子情報通信学会 モバイルネットワークとアプリケーション研究会において発表した。 2)については、まず、IFNCPAと組み合わせる経路制御方式について検討を進めた。AODVは頻繁にルート消失が発生することから、OLSRを選択することとした。さらに、IFNCPAの応用例として無線センサネットワークを用いた避難・救助支援システムにおける双方向通信を模擬したシナリオとして、大型ショッピングモールである埼玉県のイオンレイクタウンを模擬した 100 × 450 m の環境を想定した計算機シミュレーションを行い、配信率と遅延の観点からIFNCPA方式の有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に照らし合わせて、概ね順調に進展している。検討を進める過程で、当初、想定していなかったエンコード待ち時間を適切に設定しなければ、特に低負荷時に遅延が大きくなるという問題や、Passive ACKの衝突回避も必要であることが明らかになり、基礎評価については時間を要した。また、AODVにおいて頻繁にルート消失が起こり、ルート発見が繰り返される現象の原因追求に時間を要した。このため、エージェントシミュレーションについては十分な時間を割いて行うことはできなかったものの、エージエントシミュレーションのAPI等の調査は完了しており、エージェントシミュレーションに関する成果発表も実施した。また、実応用を意図し、大型ショッピングモールである埼玉県のイオンレイクタウンを模擬したシミュレーションシナリオによる評価を行うことにより、IFNCPAの有効性の検証を行うことができた。このため、概ね、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
IFNCPA方式の基礎評価をさらに進めるとともに、マルチエージェントシミュレーション実装を完了させ、避難誘導時間などのシステムレベル評価を行う。これと平行して、IFNCPA方式の実機実装の準備を行う。Scenargie CommNode の他にも、Raspberry Pi や Edison などの小型無線デバイスの普及が進んでいることから、実験に利用する端末の選定を行い、シミュレータに実装したIFNCPA方式の実機への移植準備を進める。
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