インターネットの消費電力は年々増加しており,その低減は急務の課題である.本研究の目的は,消費電力の低減を目的関数として仮想網を物理網に収容する問題(仮想網マッピング問題)を対象として,1)数理計画法により消費電力の下限値を導出すること,および,2)グラフ抽象化モデルであるブロッキングアイランドを利用して多項式時間で極力下限値に近い解を得られる仮想網マッピング技術を確立することである.平成28年度は,まず,ブロッキングアイランドを利用した仮想網マッピング手法を提案し,その有効性を計算機シミュレーションにより評価した.その結果,1)ノードリソースがボトルネックとなる場合には,提案手法は従来手法と同等の利益を示し,リンクリソースがボトルネックとなる場合には,提案手法は従来手法よりも高い利益を得られること,2)リソース原価率の高低にかかわらず提案手法による利益改善の程度は同等であること,3)ノード・リンク価格比の大小にかかわらず提案手法による利益改善の程度は同等であることがわかった.平成28年度は,さらに,クラウド基盤ソフトウェアであるOpenStackを利用して,仮想網マッピングエミュレータを構築した.この仮想網マッピングエミュレータの動作確認実験を,4つの物理ノードで構成される小規模実験ネットワーク上で行った.その結果,構築した仮想網マッピングエミュレータが正しく動作することを確認できた.
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