昨年度まで、ソフトウェアラジオ(SDR)の広帯域化およびその中での複数チャンネルを構築することでMAD-SSのチャンネルを増やすことにチャレンジをしてきた。gnuradioでの実装では、安定して動作させることはできなかった。SDRでの複数チャンネルの受信のためには、広帯域で受信するため、データの間引きを適切に行う必要があるのであるが、MAD-SSに適したパラメータを見つけることができなかった。 そこで、本年度は、従来のgnu radioでの実装だけではなく、他のSDRの実装を利用し、一つの受信機から複数のチャンネルのSSB受信機をSDR(SDR Sharp)で構築し、それぞれのSSB受信機からMAD-SS復調に渡すことで、複数のチャンネルのMAD-SS復調に成功した。 また、MAD-SSの複数チャンネル化を前提に、複数チャンネルを用いたアプリケーションの構築を行った。具体的には、京都市内の空気環境を調査するシステムである。これは、狭い地域での空気環境を調査するのに、狭い空間内に複数台のセンサを設置する必要がある。そこで、複数のMAD-SS送信機に市販の空気環境センサを装着し市内の環境モニタリングを行う装置の開発を行った。作成したシステムを、京都市役所保健福祉局衛生環境研究所(京都市下京区松原通)屋上に設置した。また、受信局を京都市中京区四条通に設置をした。無線機の周波数を426Mhz帯に3波設定し、無線機の出力は、1mWに設定した(特定小電力無線を利用)。2018年12月末から約3ヶ月間動作させ、データが送信できることを確認した。そのデータが、京都市役所保健福祉局衛生環境研究所に設置している校正用センサデータと比較し、正しく相関がとれることも確認した。 さらに、小電力無線の使い方を考えるために、心拍情報を無線で送信し、画像データに埋め込む研究を進めた。
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