本研究で対象とするマイクログリッドは、再生可能エネルギーを用いて発電を行う分散型電源と、電力を消費する需要家がそれぞれ複数により構成される自律分散型の小規模の電力網を指している。また、蓄電池を備えることで消費されずに余った電力を蓄電し、発電量の見込めない夜間等に利用することが可能である。このマイクログリッドでは、各構成要素が地震で制御を行う自律分散制御がなされており、電力融通と呼ばれる構成要素間での電力のやり取りを行うことが可能である。 本研究では、対象とするマイクログリッドをグループに分割し、グループ内での電力融通とグループ間での電力融通を区別するものとした。シミュレーションを行い、総ノード数、グループ内ノード数、電力融通を行う残余電力量のしきい値など様々な諸条件の下で最適なグループ構成を明らかにすることを目指した。 まず、ノードの発電能力を高くすると、各ノードで補える電力量が増加し、電力融通、買電、バッテリ残量切れの回数、そしてコストの4つの項目すべてが、マイクログリッドの構成によらず減少した。しかしながら、発電能力を高くすることは各ノードの設備投資にかかるコストの増大を意味するため、必ずしも実現可能であるとは言えない。また、電力融通を行う閾値を高くしていくと、バッテリ残量切れの回数が減少し、電力融通の回数が増加することがわかった。しかし同時に買電回数の増加に伴うコストの増加も発生した。本研究では、マイクログリッドを構成するすべてのノードにおいて、電力融通の閾値を同一の値で固定しているため、この閾値をノードの状況に応じて動的に変化させることでさらに性能が向上する可能性が示唆された。 また、本研究では、電力網によらずに時刻同期を実現するための方式についても検討した。その結果、太陽光だけで動作するセンサネットワークで時刻同期を実現できることを明らかにした。
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